DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進せよと言われたものの、社内にノウハウやリソースが不足しており、外部のDX支援事業者への依頼を検討し始めた経営企画・DX推進室の責任者は少なくありません。しかし、コンサルティング会社やSIer(システムインテグレーター)、開発会社など支援の形態が多岐にわたるため、自社のフェーズにどの事業者が合うのか判断がつきにくいという声もよく聞きます。
なお、「DX支援事業」という言葉は、①コンサルティング会社やSIerなどが提供する民間のDX支援サービスと、②国・自治体が企業向けに実施する専門家派遣・助成制度等の公的支援事業の、2つの意味で使われることがあります。本記事では主に①を解説し、②は記事後半(「国・自治体のDX支援事業や補助金も活用できる」)で紹介します。
本記事では、DX支援事業の定義と種類、サービス例、選定の基準、費用相場までを、発注者の立場から整理して解説します。
DX支援事業とは何か|定義と支援の全体像

DX支援事業とは、一般に、企業がデータやデジタル技術を活用して、業務プロセス、組織、製品・サービス、ビジネスモデルを変革する取り組みを、外部から支援するサービスの総称です。
ただし、「DX支援事業」は法令などで統一的に定義された名称ではなく、①民間事業者によるDX支援サービス全般と、②国や自治体が実施する公的支援事業の名称という、2つの意味で使われることがあります。本記事では主に①を扱います。
②の公的な制度をお探しの場合は、本記事後半の「国・自治体のDX支援事業や補助金も活用できる」の項目、または関連する補助金・助成金の記事を参照してください。
IT化支援・デジタル化支援との違い
3つの言葉は目的の射程が異なります。
IT化・デジタル化支援は、既存業務の効率化やプロセス改善を主目的とすることが多い一方、DX支援は、顧客価値、商品・サービス、意思決定、組織、事業モデルまで変える可能性を含みます。
ただし、両者は明確に分断されるものではありません。ITツールの導入が業務や顧客価値の変革へ発展する場合もあり、IT化・デジタル化はDXの重要な手段・基盤になります。
DX支援事業者の主な類型|コンサル・SIer・開発会社の違い
「DX支援事業者」は、戦略コンサルティング会社、SIer、開発会社などを含み得る総称です。それぞれを対立する概念として捉えるのではなく、関与する段階や強みが異なる「類型」として整理すると理解しやすくなります。具体的な類型とサービス例は、次章「DX支援事業者の種類とサービス例」で解説します。
DX支援事業者とDX認定事業者の違い
両者は立場そのものが異なります。DX支援事業者は企業のDX推進を外部から支援する事業者を指すのに対し、DX認定事業者は経済産業省のDX認定制度に基づき、デジタルガバナンス・コードの基本的事項を満たすと国から認定された企業側を指します。
つまり、DX支援事業者は「支援する側」、DX認定事業者は「認定を受ける側」という関係です。DX支援事業者への依頼と、自社がDX認定を取得することは、別軸の取り組みとして並行して検討できます。
DX支援事業の種類とサービス例

DX支援事業者に統一された公式分類はありません。本記事では、発注時に比較しやすいよう、主な強みと支援フェーズから6つの類型に整理します。
| 類型 | 主な支援内容 | 向いている状況 |
|---|---|---|
| 戦略コンサル型 | 経営課題整理、DX戦略、ロードマップ策定 | 何から始めるか未整理 |
| 総合コンサル・PMO型 | 業務改革、全社展開、プロジェクト管理 | 複数部門・案件を統括したい |
| SIer・システム構築型 | 要件定義、大規模開発、連携、保守 | 要件や対象システムが明確 |
| PoC・伴走開発型 | 課題整理、検証、MVP開発、改善 | 仮説検証しながら進めたい |
| SaaS・ツール導入型 | 製品選定、設定、定着支援 | 特定業務を早く改善したい |
| 研修・内製化支援型 | 教育、実践研修、組織づくり | 社内能力を高めたい |
上記は一般的な傾向であり、実際の支援範囲は事業者ごとに異なります。近年は、戦略から開発までを一体で提供するコンサルティング会社や、構想策定から関与するSIerも増えています。
戦略コンサル型:DX戦略の立案・ロードマップ策定を支援
自社の現状(As-Is)とあるべき姿(To-Be)のギャップを整理し、中期的なDX戦略やロードマップの策定を支援します。経営層の合意形成や、DX推進体制の設計まで踏み込む事業者もあります。
戦略策定のみを担う事業者もあれば、近年は戦略から実行・テクノロジー領域まで一体で提供する事業者も増えています。実行フェーズを別会社に依頼する前提かどうかは、事業者ごとに対応範囲が異なるため、依頼前に確認するとよいでしょう。
総合コンサル・PMO型:全社DXと複数プロジェクトの推進を支援
全社DXロードマップの策定、複数部門の合意形成、プロジェクト群の優先順位管理、ベンダーマネジメント、経営会議向けの報告などを支援します。大手企業やグループ企業など、関係者が多く、複数のDX施策が並行している場合に適しています。
一方で、PMOが会議運営や資料作成だけに偏らず、実際の課題解決や意思決定を前進させられる体制かを確認する必要があります。
SIer・システム構築型:大規模システムの開発・保守運用を支援
基幹システムや大規模な業務システムの構築、安定的な保守運用に強みを持つ事業者が多く、要件が明確な案件と相性がよい傾向があります。一方で、構想策定や業務改革など上流工程から関与するSIerも増えているため、対応範囲は個別に確認するとよいでしょう。
PoC・伴走開発型:構想段階からPoC・MVP開発まで一貫して支援
新規事業やDX施策の構想段階から、PoC(小規模な仮説検証)やMVP(実用最小限の製品)の開発、さらにその先の事業化までを一貫して伴走する支援形態です。要件が確定していない段階から発注者と一緒に仮説を検証できる点が特徴で、戦略だけでなく実装まで任せられるパートナーを探している企業との相性がよい類型です。
一方で、伴走の範囲は事業者によって差があるため、どのフェーズまで併走してもらえるか、事業計画の策定や、本番移行・事業化までどこまで支援できるかは、依頼前に確認しておくとよいでしょう。
SaaS・ツール導入型:特定業務を短期間で改善
会計、営業、マーケティング、人事、顧客対応など、特定業務向けのSaaS・クラウドサービスを選定・設定し、導入・定着まで支援するタイプです。ゼロからシステムを開発する必要がなく、課題に適合する既製サービスがすでに存在する場合は、比較的短期間で導入しやすい点が特徴です。
一方で、既存の業務プロセスをそのままツールに合わせるだけでは十分な効果が出ないこともあります。業務プロセスの見直しや、既存システムとの連携まで対応できるかを、依頼前に確認するとよいでしょう。
研修・人材育成型:DX人材育成・リスキリングを支援
社員向けのDXリテラシー研修や、データ分析・デジタルツール活用のリスキリング(学び直し)プログラムを提供する支援形態です。外部支援に依存し続けるのではなく、社内にDX人材を育てることを目的としており、内製化を見据えた企業との相性がよい類型です。
業務領域別のDX支援サービス例
DX支援は、業務領域ごとに得意なサービスが異なります。
| 領域 | 課題例 | DX支援サービス例 |
|---|---|---|
| 経営・企画 | 経営データが部門ごとに分散 | データ統合、BI導入、経営ダッシュボード、予測分析 |
| 営業 | 商談情報が属人化 | 営業プロセス設計、SFA導入、予測分析 |
| マーケティング | 顧客データが分断 | 顧客データ統合、MA導入、施策分析 |
| 経理・財務 | 月次締めが遅い | 業務標準化、会計連携、経営管理高度化 |
| 人事 | 人材情報を活用できない | 人材データ基盤、配置・育成設計 |
| 製造 | 稼働・品質情報が見えない | IoT活用、予知保全、生産計画最適化 |
| 物流 | 在庫・配送が分断 | WMS導入、需要予測、配送最適化 |
| 顧客対応 | 問い合わせが集中 | FAQ整備、AI応答、ナレッジ基盤 |
自社の課題がどの業務領域にあるかを明確にすることで、依頼すべきDX支援のサービス例が絞り込みやすくなります。
DX支援事業者は具体的に何をしてくれるのか

DX支援事業者が担う業務は、一般的に以下のフェーズで進み、それぞれ次のような成果物が作成されます。
| フェーズ | 主な支援 | 成果物例 | 主な事業者タイプ |
|---|---|---|---|
| 課題整理 | 経営・業務課題の整理 | 課題一覧、優先順位 | コンサル・伴走型 |
| 現状分析 | 業務、データ、システム調査 | As-Is業務フロー、システム構成図 | コンサル・伴走型 |
| 構想策定 | 目指す姿、施策、投資計画 | DX構想、ロードマップ | コンサル・伴走型 |
| 要件整理 | 業務・機能・非機能要件 | 要件定義書、RFP | SIer・開発会社 |
| PoC | 技術・事業・業務仮説の検証 | 検証計画、試作、評価レポート | 伴走型・開発会社 |
| 開発・導入 | システム構築、移行、教育 | システム、移行計画、マニュアル | SIer・開発会社 |
| 定着・改善 | KPI、利用状況、課題の分析 | KPIレポート、改善計画 | 総合コンサル・SaaS支援 |
すべての支援事業者が全工程を担うわけではありません。どの工程から関与してもらうかは、発注企業の現在地によって異なります。
DX支援事業者へ依頼するメリット・デメリット

DX支援事業者への依頼には、専門知識の活用やスピード向上といった利点がある一方で、費用や丸投げのリスクといった注意点もあります。両面を理解したうえで検討することが重要です。
依頼するメリット
依頼するメリットは主に以下が挙げられます。
- 専門知識やノウハウを得られる
- 自社に不足する専門性・リソースを補い、適切に役割分担できれば推進を早められる
- 類似プロジェクトの知見を活用できる
- 外部の客観的な視点があることで、社内の合意形成が進めやすい
これらのメリットは、支援事業者に丸投げした場合ではなく、発注企業側が主体的に関与した場合に最大化される点に留意が必要です。
依頼するデメリットと対策
| デメリット | 対策 |
|---|---|
| 費用がかかる | 支援フェーズを段階分けし、必要な範囲から発注する |
| 丸投げすると事業と乖離した提案・システムになりやすい | 業務知識を持つ事業部門の担当者をプロジェクトに関与させる |
| 依頼しても社内担当者が不要になるわけではない | 発注前に自社側の担当者・体制を明確にしておく |
デメリットの多くは、事前の準備と社内体制の設計によって軽減できるため、依頼前のスコープ整理と併せて対策を検討しておくことをおすすめします。
自社に合うDX支援事業者の選び方

DX支援事業者を選ぶ際は、いきなり個社を比較するのではなく、まず自社の現在地と目的を整理し、そのうえで具体的な提案内容を確認する順序で進めると、判断のブレを減らせます。ここでは3つのステップに沿って解説します。
ステップ1:自社の現在地を確認する
最初に、自社がDX推進のどの段階にいるかを確認します。現在地によって、候補となる支援タイプは大きく変わります。
| 現在地 | 主な課題 | 候補となる支援 |
|---|---|---|
| DXテーマが決まっていない | 経営課題・DXテーマが未整理 | 戦略コンサル型 |
| DXテーマが決まっていない | テーマ・課題仮説はあるが具体化できない | PoC・伴走開発型 |
| 戦略はあるが進まない | 部門調整・推進管理が弱い | 総合コンサル・PMO型 |
| 仮説はあるが要件が固まらない | 小さく検証したい | PoC・伴走開発型 |
| 要件が明確 | 開発・刷新を進めたい | SIer・システム構築型 |
| 特定業務を改善したい | 標準ツールを短期間で導入したい | SaaS・ツール導入型 |
| 社内に知見を残したい | 人材育成・内製化を進めたい | 研修・内製化支援型 |
複数の現在地に当てはまる企業も多いため、この表は出発点として使い、次のステップで目的を具体化しながら絞り込んでいきます。
ステップ2:依頼目的と支援範囲を決める
現在地を確認したら、次に「何を達成したいか」という目的を明確にします。達成したい目的によって、選ぶべき支援タイプの傾向が変わります。
| 状況・目的 | 重視すべき支援機能 |
|---|---|
| 新しい収益源を作りたい | 事業戦略の整理 + PoC・開発による検証 |
| 既存業務を効率化したい | 業務改革の設計 + SaaS導入、または基幹システム刷新 |
| 新しいサービス・事業を作りたい | 事業設計 + PoC・MVP開発 |
| AI・生成AIを活用したい | 課題整理 + データ・AI実装に強い事業者 |
| 全社展開・複数プロジェクトを管理したい | 全社戦略 + PMO(プロジェクト管理)機能 |
| 社内にノウハウを残したい | 研修・内製化支援 + 伴走型の移管設計 |
同時に、戦略策定のみを依頼するのか、開発・運用まで含めるのかという支援範囲(スコープ)もこの段階で言語化しておきます。範囲を先に決めておくことで、事業者からの提案を同じ土俵で比較できるようになります。複数の目的を同時に抱えている場合は、1社に一括して依頼する方法と、戦略・開発・運用を専門事業者へ分けて依頼する方法があり、どちらが適するかは社内の統括能力や責任分界、プロジェクト規模によって判断します。
ステップ3:8つの軸で候補企業を比較する
複数の事業者を比較検討する際は、次の8つの軸で整理すると判断しやすくなります。
| 比較軸 | 確認事項 |
|---|---|
| 業界・事業理解 | 自社の業界・収益構造を理解できるか |
| 対応フェーズ | 構想、PoC、開発、運用のどこまで担うか |
| 実働体制 | 提案者と担当者の一致、再委託の有無、稼働率 |
| プロジェクト管理 | 品質、リスク、進捗、経営報告への対応力 |
| 技術・開発力 | 実装、連携、データ、AI等への対応力 |
| セキュリティ・調達 | 審査、監査、契約、情報管理への対応 |
| コミュニケーション | 経営・現場・IT間を調整できるか |
| 移管・内製化 | コード、データ、ノウハウを引き継げるか |
価格は、これらの軸で前提条件(対象フェーズ・成果物・人数)をそろえたうえで比較するものと捉えると、実質的な違いを見極めやすくなります。8つの軸のいずれでも満点となる事業者を探す必要はなく、自社が特に重視する軸を先に決めたうえで、優先順位をつけて比較することが現実的な進め方です。
DX支援事業者の選定・活用でよくある失敗

DX支援事業者の選定や活用でつまずく企業には、共通する傾向があります。多くの失敗は、特定の担当者や事業者の能力不足ではなく、発注プロセスの各段階で確認すべき事項を整理しないまま次の段階へ進んでしまうことに起因します。
| 段階 | よくある失敗 | 対策 |
|---|---|---|
| 目的整理 | DXそのものが目的になる | 経営課題・事業成果から逆算する |
| 選定 | ブランドや価格だけで選ぶ | 実働体制・対応範囲を比較する |
| 見積比較 | 異なるスコープを金額だけで比較する | 前提・成果物・人数をそろえる |
| 契約 | 戦略と実装の責任分界が曖昧 | 各社・自社の役割を明文化する |
| PoC | 本番移行条件がない | 成功・追加検証・撤退条件を決める |
| 導入 | 現場・IT・法務を十分に巻き込めていない | 初期段階から関係部門を参加させる |
| 運用 | 外部事業者へ依存し続ける | 自社が保持すべき機能と、外部へ継続委託する機能を切り分ける |
いずれの失敗も、事前に自社側の関与範囲や評価基準を明確にしておくことで避けられるものです。特定の段階だけを注意するのではなく、目的整理から運用まで一連のプロセスとして捉え、各段階の対策を先回りで押さえておくことが、外部依存に陥らない発注につながります。
DX支援事業で使われる契約形態と確認事項
DX支援では、契約形式が責任範囲や成果物へ直接影響します。依頼するフェーズや支援タイプに応じて、適した契約形態を確認しておく必要があります。
請負・準委任・プロジェクト型・顧問契約の違い
DX支援の契約は、「請負・準委任」という法的な契約形態と、「固定プロジェクト型・月額顧問型」という料金・発注方式の、2つの異なる軸で整理すると分かりやすくなります。プロジェクト型・月額顧問型は法律上の契約類型ではなく、料金・運用上の呼び方であるため、実際の契約では両者を組み合わせて用います(例:準委任契約×月額顧問型)。
法的な契約形態
| 契約形態 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 請負契約 | 要件が明確な開発 | 検収、仕様変更、不具合対応の範囲 |
| 準委任契約 | PoC、PMO、伴走支援 | 稼働時間、役割分担、成果の定義 |
料金・発注方式
| 発注方式 | 主な用途 | 注意点 |
|---|---|---|
| 固定プロジェクト型 | 調査、戦略、構想策定 | 成果物、会議体、修正範囲 |
| 月額顧問型 | 継続的な助言・伴走支援 | 対応時間、頻度、対象外業務 |
請負・準委任は法律上の契約類型を指し、固定プロジェクト型・月額顧問型は料金・発注運用上の呼び方です。両者は別軸のため、実際の契約では『準委任契約×月額顧問型』のように組み合わせて用いられます。
1つのプロジェクトの中でも、フェーズによって契約設計を変えることがあります。たとえば、構想段階は準委任契約×固定プロジェクト型、要件が確定した開発段階は請負契約、継続的な改善・運用段階は準委任契約×月額顧問型、というようにフェーズごとに契約形態を分けて締結するケースも少なくありません。
知的財産・データ・再委託・引き継ぎを確認する
契約形態にかかわらず、以下の項目は事前に確認しておくと、後工程でのトラブルを防ぎやすくなります。
- 知的財産権(システム・成果物の帰属)
- ソースコードの帰属
- データの所有・返却
- 再委託の有無・範囲
- 秘密保持
- インシデント対応
- 契約終了時の移管方法
- 仕様変更・追加費用の扱い
これらは契約書の雛形に記載がない場合もあるため、特に知的財産権とデータの帰属、契約終了時の移管方法は、契約締結前に個別条項として明文化しておくことをおすすめします。
国・自治体のDX支援事業や補助金も活用できる
ここまで紹介してきたのは民間事業者によるDX支援サービスですが、これとは別に、国や自治体が実施する公的な支援制度・施策があります。公的支援は民間支援会社の一つの「類型」ではなく、診断・専門家派遣・補助金といった制度・施策として提供される点が異なります。
DX診断・専門家派遣
公的支援には、自己診断ツール、専門家派遣、相談窓口、補助金・助成金などがあります。経済産業省・IPAは『DX推進指標』などの自己診断ツールを提供しているほか、東京都など一部自治体では、専門家によるデジタル化診断やツール活用助言を無料または低コストで受けられる支援事業(例:中小企業デジタル化ファーストステップ支援事業)があります。
DX関連の補助金・助成金
デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)や、東京都のDX推進トータルサポート事業(旧DX推進助成金)といった制度があります。対象要件・補助率は制度・年度によって変わるため、活用を検討する際は最新の公募要領を確認してください。
各制度の詳細は、下記の記事で解説しています。


民間のDX支援事業者と組み合わせる方法
公的制度によっては、ソフトウェア、システム開発、設備、専門家費用、研修費などが対象になる場合があります。ただし、民間事業者への支払費用がすべて対象になるわけではなく、コンサルティング費や申請支援費が対象外となる制度もあります。対象経費と契約・発注可能な時期を、事前に募集要項と事務局で確認してください。
補助金・助成金の対象企業は、主に中小企業等を対象とする制度が多くあります。自社が対象となるかは、活用を検討する制度の募集要項で確認してください。
DX支援事業の費用の考え方と参考レンジ

DX支援事業の費用は、支援タイプやフェーズによって幅があります。見積もりを比較する前に、大まかな費用感と、金額が変動する要因を把握しておきましょう。
中堅・大手企業案件を想定した参考レンジ
DX支援の費用は、依頼するフェーズによって大きく異なります。事業者タイプで比較すると、同じ「戦略コンサル型」でも診断のみか戦略策定まで含むかで金額差が生じやすいため、ここではフェーズ単位で費用感を整理します。
※以下はIncubation Baseが主に想定する中堅・大手企業向け案件の参考レンジであり、市場全体の統計的な相場ではありません。中小企業の場合は、本記事のレンジよりも小規模な見積もりが提示されることがあります。
| 支援フェーズ | 費用の考え方 | 主な変動要因 |
|---|---|---|
| 簡易診断・課題整理 | 数十万〜数百万円 | ヒアリング数、対象部門、調査範囲 |
| DX構想・戦略策定 | 数百万円〜数千万円 | 事業数、部門数、経営会議対応 |
| PoC(概念実証) | 数百万円〜数千万円 | 検証範囲、データ、外部連携 |
| MVP開発 | 数百万円〜数千万円 | 機能範囲、連携、開発期間 |
| 本番開発・大規模刷新 | 数千万円〜数億円 | 機能、品質、セキュリティ、連携 |
| PMO・伴走支援 | 月額数十万〜数百万円以上 | 人数、稼働率、役割、会議体 |
同じフェーズでも、対象範囲・体制・期間によって数倍単位で変動するため、見積もり比較の際は前提条件をそろえることが重要です。
費用を左右する主な要因
フェーズが同じでも、以下の要因によって費用は変動します。
- 発注企業の規模:対象部門の数、関係者の人数、全社展開の有無
- 支援会社の規模・体制:大手ファームか、中堅・専門特化型か
- 業務・システムの複雑度:既存システムとの連携範囲、データ量、セキュリティ要件
フェーズが同じ「PoC」や「戦略策定」であっても、この3つの要因によって総額が数倍単位で変わることがあります。見積もりを比較する際は、これらの条件に加えて、人数と稼働率、役職・単価、成果物の範囲、再委託の有無、追加費用の条件、仕様変更時の扱いも確認しておくと、実質的な違いを見極めやすくなります。
DX支援事業者へ依頼する流れ|準備から導入後まで

DX支援事業者への依頼を成功させるには、依頼前の社内整理と、依頼後の進め方の両方を押さえておく必要があります。ここでは準備段階から導入後までの流れを整理します。
【依頼前】自社のDX成熟度と現在のフェーズを把握する
構想段階なのか、戦略は固まっていて実行パートナーを探しているのか、現在地によって適した支援タイプは異なります。経済産業省の「DX推進指標」などを用いた自己診断も、現状把握の手段の一つです。
【依頼前】支援に求める範囲(スコープ)を言語化する
戦略策定のみか、開発・運用まで含めるのかを事前に言語化しておくことで、事業者からの提案を同じ土俵で比較できます。
【依頼前】予算と期間の目安を事前に社内合意しておく
前章の費用相場を参考に、どのフェーズにどの程度の予算を割り当てるか、社内で事前に合意形成しておくと、稟議や意思決定がスムーズに進みます。
【依頼前】評価指標(KPI)を発注者側で設定しておく
支援の成果をどう評価するか、KPIを発注者側であらかじめ設定しておくことで、事業者任せの評価にならず、プロジェクトの軌道修正がしやすくなります。
【依頼後】相談から導入・改善までの流れを押さえる
依頼後は、一般的に次のような流れで進みます。
相談→現状分析→提案→契約→伴走開始→PoC(仮説検証)→導入→改善
初回相談から契約までの間に、複数回のヒアリングを重ねる事業者が多く、この段階でのやり取りの質が、その後の伴走の質を見極める材料になります。
DX支援事業に関するよくある質問(FAQ)

DX支援事業者への依頼を検討する際によく寄せられる質問をまとめました。
- 社内にエンジニアがいない状態でもDX支援事業者に依頼できますか?
-
依頼可能です。伴走型の支援事業者であれば、構想段階からPoC・MVP開発まで含めて対応するため、社内にエンジニアがいない状態からでも着手できます。ただし、戦略判断や業務知識は発注企業側が握る体制を維持することが、外部依存を防ぐうえで重要です。
- DX支援事業者への依頼と、自社でのDX内製化は両立できますか?
-
両立できます。初期は外部の伴走型パートナーに支援を受けながら、並行して社内のIT人材の採用・育成を進め、段階的に内製化の比率を高めていく進め方が現実的です。
ただし、すべての機能を内製化する必要はありません。戦略判断、業務設計、データ管理など自社が持つべき機能を定めたうえで、システム保守や高度なセキュリティ対応、特殊なAI開発などは、外部と継続的に役割分担する方法もあります。
- DX支援事業の費用はどのくらいかかりますか?
-
支援フェーズによって幅があり、簡易な診断であれば数十万円規模から、SIer・システム構築型の本開発では1億円規模になるケースまでさまざまです。国・自治体の公的支援を活用できる場合は、費用負担を抑えられることもあります。詳細な費用目安は本記事の「DX支援事業の費用相場」をご確認ください。
- DX支援会社は中小企業でも利用できますか?
-
利用できます。ただし、対応可能な企業規模は支援会社によって異なるため、自社の規模・予算感に合った支援会社かどうかを、費用相場と支援範囲の両面から確認して判断することが重要です。
- 契約期間はどれくらいですか?
-
支援内容によって異なります。戦略策定のみのプロジェクト型契約であれば数か月単位、伴走型で開発・運用定着まで含める場合は半年から1年以上に及ぶこともあります。契約前に、想定される期間の目安を事業者に確認しておくと安心です。
- 成果報酬型の契約はありますか?
-
一部の事業者では、成果報酬型やそれに近い契約形態を採用している場合があります。ただし、DX支援は成果が定量化しにくい領域も多いため、プロジェクト型や顧問契約型と組み合わせるケースが一般的です。契約形態については、依頼前に事業者へ個別に確認することをおすすめします。
- DX支援会社への依頼費用に補助金は使えますか?
-
活用できる場合があります。デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)や、東京都などの自治体が実施するDX推進助成金といった公的支援型の制度を組み合わせることで、システム開発費やソフトウェア費、専門家費用など対象経費の一部をカバーできる可能性があります。ただし、コンサルティング費や申請支援費が対象外となる制度もあるため、対象経費は制度ごとに確認が必要です。対象要件は制度・年度によって変わるため、活用を検討する際は最新の公募情報を確認してください。
まとめ:DX支援事業者の選定は「類型の理解」と「発注前の整理」で決まる

本記事で主に扱った民間のDX支援事業には、戦略コンサル型、SIer型、伴走型、研修型など複数の類型があります。あわせて、国・自治体による公的支援制度を組み合わせることで、費用負担を抑えながら着手することもできます。
自社に合う支援タイプを見極めるには、現在地、解決したい課題、依頼する範囲を整理したうえで、業界理解、実働体制、対応フェーズ、プロジェクト管理力、セキュリティ対応などを比較することが重要です。戦略から実装までを一社に依頼する方法と、各領域の専門会社を組み合わせる方法のどちらが適するかは、プロジェクト規模と自社の統括体制によって異なります。
Incubation Baseは、新規事業開発・システム開発・DX支援の3軸で、構想段階からPoC・MVP開発、事業化までを一貫して伴走型で支援しています。DX推進の進め方や、自社に合う支援タイプの選定でお悩みの場合は、無料の個別相談からお気軽にお問い合わせください。