DX支援とは、企業のDX推進を外部の専門家が支えるサービスの総称です。コンサルティングファームによる戦略支援だけでなく、SIerによるシステム構築、公的機関によるセミナー・診断など、支援の形態は多岐にわたります。
本記事では、DX支援の類型ごとの違い・導入ステップ・活用できる補助金を整理し、自社に合った支援の受け方を判断できるように解説します。
- DX支援の定義と3つの類型
- 外部のDX支援が求められる背景
- DX支援の主な業務内容と導入ステップ
- DX支援会社を選ぶ際の比較軸
- DX支援に活用できる補助金・助成金
記事を参考に、自社にあったDX支援依頼を検討しましょう。
DX支援とは

DX支援とは、企業がデジタル技術を活用してビジネスや業務を根本から変革する取り組みを、外部の専門家が支えるサービスです。
- DX支援の定義と対象範囲
- DX支援の3つの類型(コンサル型・SI/開発型・公的支援)
- DXコンサルとの関係性
ここでは、DX支援の基本的な定義と、混同されやすい概念との違いを整理します。
DX支援の定義と対象範囲
DX支援は、デジタル技術の導入そのものが目的ではなく、技術を手段として業務プロセスやビジネスモデルを変革することを目的としています。具体的には、現状の業務分析から戦略策定、システム導入、組織への定着までを一貫して支援するサービスを指します。
経済産業省が公表した「DXレポート」(2018年)でも指摘されているとおり、日本企業の多くはレガシーシステムの刷新や組織変革に課題を抱えており、外部の専門知見を活用した支援の重要性が年々高まっています。
DX支援の3つの類型(コンサル型・SI/開発型・公的支援)
DX支援は、提供主体の性質によって大きく3つの類型に分けられます。それぞれ支援の範囲や強みが異なるため、自社のDX推進フェーズに合った類型を選ぶことが重要です。
| 比較項目 | コンサル型 | SI・開発会社型 | 公的支援 |
|---|---|---|---|
| 主な提供主体 | コンサルティングファーム | SIer、ソフトウェア開発会社 | 自治体、IPA、商工会議所等 |
| 支援範囲 | 戦略策定〜実行・定着 | システム設計・開発・導入 | セミナー、診断、簡易アドバイス |
| 強み | 経営課題を起点とした全体設計 | 技術実装力、既存システム連携 | 無料〜低額、初期段階の気づき |
| 費用感 | 月額150万〜数千万円 | 開発規模に依存(数百万〜数億円) | 無料〜数万円程度 |
| 適した企業フェーズ | 戦略が未策定〜実行段階 | 要件定義が固まった段階 | DX検討の初期段階 |
| 内製化支援 | 対応可能な会社あり | 限定的(保守運用が中心) | 対象外が多い |
コンサル型のDX支援について詳しくは「DXコンサルとは?」の記事で解説しています。
DXコンサルとは?業務内容や導入メリット、コンサル会社の選び方など解説
DXコンサルとの関係性
DX支援のなかでも、経営課題を起点に戦略策定から実行・定着まで専門のコンサルタントが伴走する形態を「DXコンサル(DXコンサルティング)」と呼びます。DX支援が支援形態の総称であるのに対し、DXコンサルはそのなかのコンサルティング型支援を指す、という関係です。
自社の課題が「何から始めればいいかわからない」「戦略の立て方がわからない」という段階であればコンサル型、「やるべきことは決まっているがシステムを作れる人材がいない」という段階であればSI・開発会社型が適しています。
なぜ今、外部のDX支援が必要なのか

多くの企業がDXの重要性を認識しながらも推進に苦戦しています。その背景には、社内リソースだけでは乗り越えにくい構造的な課題があります。
- 社内だけではDX人材やノウハウが不足しやすい
- 部分最適なIT導入だけでは成果が出にくい
社内だけではDX人材やノウハウが不足しやすい
DX推進には、デジタル技術の知識だけでなく、経営戦略や業務設計を横断的に理解できる人材が求められます。しかし、IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」によると、DXを推進する人材が不足している(「大幅に不足している」「やや不足している」の合計)と回答した日本企業は85.1%に上ります。この割合は米国(23.8%)やドイツ(44.6%)と比べて著しく高く、2022年度調査(83.5%)、2023年度調査(85.7%)から大きな改善が見られない状況です。
こうした人材を社内で一から育成するには時間とコストがかかるため、外部の専門家の知見を借りて推進する選択肢が現実的な解決策となっています。
出典:IPA独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」
部分最適なIT導入だけでは成果が出にくい
部署単位でバラバラにツールを導入した結果、データの連携ができず、かえって業務が複雑化するケースは少なくありません。DXの成果を出すには、全社的な視点で業務フローを見直し、一貫した戦略のもとでデジタル化を進める必要があります。
外部のDX支援会社は、第三者の視点で組織全体を俯瞰し、部門間の壁を越えた最適な設計を提案できる点が強みです。
DX支援の主な5つの業務内容

DX支援の業務は、上流の戦略策定から下流の運用定着まで多岐にわたります。
- 現状分析と課題の整理
- DX戦略・ロードマップの策定
- システム導入・開発支援
- 業務改善・データ活用支援
- 運用定着・内製化支援
ここでは代表的な業務内容を整理します。
現状分析と課題の整理
業務フロー・既存システム・組織体制を可視化し、DX推進のボトルネックを特定するフェーズです。ヒアリングや現場観察を通じて、経営層と現場の認識ギャップを埋めることも重要な役割となります。
DX戦略・ロードマップの策定
分析結果をもとに、短期・中期・長期の目標を設定し、優先順位をつけた実行計画を策定します。経営ビジョンとの整合性を取りながら、投資対効果を見据えたロードマップに落とし込むことがポイントです。
システム導入・開発支援
戦略に基づき、最適なツールやシステムの選定・導入・カスタマイズを行います。既存システムとの連携やデータ移行といった技術的な課題にも対応し、導入後のトラブルを最小限に抑える設計を行います。
業務改善・データ活用支援
導入したシステムから得られるデータを経営判断や業務改善に活かすための仕組みづくりを支援します。BIツール(ビジネスインテリジェンスツール)の活用やKPI設計など、データドリブンな組織への移行をサポートします。
運用定着・内製化支援
外部支援に依存し続ける状態を避けるため、社内メンバーへのトレーニングやマニュアル整備を行い、自社で運用・改善を回せる体制の構築を支援します。最終的に企業が自走できることが、DX支援の理想的なゴールです。
DX支援を導入するまでの5ステップ

DX支援の導入は、一足飛びにシステムを入れるのではなく、段階を踏んで進めることが成功の鍵です。
- 自社の課題と目的を整理
- DX支援会社を選定し契約
- 推進体制を構築
- PoCで小さく検証
- 本格展開と改善サイクル
以下の5つのステップで進行するのが一般的です。
自社の課題と目的を整理する
まず自社の業務プロセス・システム環境・組織体制を棚卸しし、課題を洗い出します。支援会社とともに現状を客観的に把握することで、的外れな投資を避けられます。
DX支援会社を選定し契約する
DX支援会社を比較・選定し、契約を締結します。選定時は「3つの類型」(コンサル型・SI/開発型・公的支援)のうち自社のフェーズに合った類型を起点に、支援範囲・費用感・自走化への姿勢を比較軸として評価するとミスマッチを防げます。契約時は支援範囲・成果物・期間・費用を明確に定めておくことが重要です。
推進体制を構築する
DX推進の責任者やプロジェクトチームを編成します。外部の支援会社と社内メンバーの役割分担を明確にし、意思決定のスピードを確保することが重要です。
PoCで小さく検証する
いきなり全社展開するのではなく、特定の部門や業務でPoC(概念実証)を実施します。小さく試して効果を検証し、課題を修正したうえで展開範囲を広げていきます。
本格展開と改善サイクルを回す
PoCの結果を踏まえて全社的に展開し、定期的な効果測定と改善サイクルを回します。導入して終わりではなく、運用しながら継続的に最適化していくことがDX成功のポイントです。
DX支援を受けるメリットとは

外部のDX支援を活用することで、自社だけでは実現しにくい成果を効率的に得られます。
- 専門知見によるプロジェクトの加速
- 自社だけでは見えにくい課題を整理
- DX人材の育成とデジタルリテラシーの底上げ
主な3つのメリットについて解説していきます。
専門知見によるプロジェクトの加速
DX支援会社は、多数の企業支援で培った知見やフレームワークを持っています。ゼロから手探りで進めるよりも、成功パターンや失敗事例を踏まえた効率的な推進が可能になります。
自社だけでは見えにくい課題を整理
社内にいると「当たり前」になっている非効率な業務フローやボトルネックを、第三者の目で客観的に発見できます。部門間の利害を超えた提案ができる点も、外部支援ならではの価値です。
DX人材の育成とデジタルリテラシーの底上げ
支援を受ける過程で社内メンバーがプロジェクトに参画し、実践的なスキルを習得できます。外部に任せきりにするのではなく、伴走型の支援を選ぶことで、将来的な自走力の獲得にもつながります。
DX支援を受けるデメリットとは

DX支援には多くのメリットがありますが、注意すべき点も存在します。事前にリスクを把握し、対策を講じることが大切です。
- 高額なコンサルティング費用が発生する
- 現場との温度差が生じ、ツールが形骸化する
- 支援会社の得意領域と自社課題のミスマッチが生じる
ここでは3つのデメリットについて見ていきます。
高額なコンサルティング費用が発生する
DX支援は数か月から年単位のプロジェクトになることが多く、コンサルティング費用が高額になりやすいです。
ただし、補助金・助成金の活用や、フェーズごとの段階的な契約によってコストを抑える方法もあります。費用対効果を事前にシミュレーションしておくことが重要です。
費用相場の詳細やコストを抑える方法は以下の記事で解説しています。
DXコンサルの費用相場はいくら?料金体系や内訳、コストを抑える選び方のコツを徹底解説
現場との温度差が生じ、ツールが形骸化する
経営層と支援会社だけで計画を進めた結果、現場の理解が追いつかず、導入したツールが使われないまま放置されるケースがあります。計画段階から現場メンバーを巻き込み、「なぜこの変革が必要なのか」を丁寧に共有することで、定着率を大きく向上させられます。
支援会社の得意領域と自社課題のミスマッチが生じる
DX支援会社によって、戦略設計が得意な会社、システム開発に強い会社、特定業界に特化した会社など、強みの領域は異なります。自社の課題と支援会社の得意領域がずれていると、期待した成果が得られないまま費用だけが発生するリスクがあります。
前述の3つの類型(コンサル型・SI/開発型・公的支援)を参考に、自社のDX推進フェーズに合った支援会社を選ぶことで、このリスクを回避できます。
自社に合ったDX支援会社の選び方

DX支援会社は数多く存在しますが、自社の課題やフェーズに合った会社を選ぶことが成功の前提です。
- 戦略だけか実行・定着までか、支援範囲で選ぶ
- 企業の自走化を最終ゴールに置いているかで選ぶ
- コストパフォーマンスと補助金活用の提案力で選ぶ
以下を参考にDX支援会社への依頼を検討しましょう。
戦略だけか実行・定着までか、支援範囲で選ぶ
戦略策定のみを行う会社と、実行・運用定着まで伴走する会社では、得られる成果が大きく異なります。自社にDX推進の実行力がない段階では、戦略から定着までワンストップで対応できる支援会社を選ぶほうが成果に直結しやすいです。
企業の自走化を最終ゴールに置いているかで選ぶ
優良なDX支援会社は、支援終了後に企業が自力でDXを推進できる体制を築くことを最終目標としています。
逆に、契約の長期化を前提とした支援モデルの場合、外部依存が解消されないリスクがあります。契約前に「出口戦略」を確認しておくことが大切です。
コストパフォーマンスと補助金活用の提案力で選ぶ
同じ支援内容でも、補助金・助成金の活用を積極的に提案してくれる会社とそうでない会社では、実質的な費用負担に大きな差が出ます。申請のサポートまで対応できる支援会社は、特に中小企業にとって心強いパートナーとなります。
DX支援で活用できる主な補助金・助成金【2025年度】

DX支援の費用負担を軽減するために、国や自治体が提供する補助金・助成金を活用できる場合があります。
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 中小企業新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金の後継)
ここでは、DX導入で使える代表的な制度を紹介します。
IT導入補助金
中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の費用を一部補助する制度です。DX支援の一環として導入するクラウドサービスや業務管理ソフトなどが対象となるケースがあります。補助率や申請要件は年度ごとに変わるため、最新情報を確認してください。
※補助金の名称・補助率・申請要件は年度ごとに改定されます。申請を検討する際は、各制度の公式サイトで最新の公募要領を必ずご確認ください。
ものづくり補助金
製造業を中心に、革新的なサービス開発や生産プロセスの改善に取り組む企業を支援する制度です。DXによる生産性向上の取り組みが対象になる場合があり、設備投資だけでなくシステム開発費用が補助対象に含まれることもあります。
※補助金の名称・補助率・申請要件は年度ごとに改定されます。申請を検討する際は、各制度の公式サイトで最新の公募要領を必ずご確認ください。
中小企業新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金の後継)
新たな市場や事業分野への進出に挑戦する中小企業を支援する制度で、かつての「事業再構築補助金」の後継的な位置づけとして新設されました。事業再構築補助金は第13回公募(2025年)をもって新規募集を終了しており、現在は本制度が中小企業の新事業挑戦を後押しする主要な枠組みとなっています。
補助上限は最大9,000万円(従業員規模により変動)と大規模で、DXを活用した新規事業の立ち上げや事業構造の転換に取り組む計画であれば、支援会社へのコンサルティング費用を含めて申請できる可能性があります。旧制度と異なり売上減少要件はなく、成長志向の企業も対象となる一方、賃上げ要件など新たな条件が設けられている点に注意が必要です。
なお、2026年度後半には「ものづくり補助金」との統合が予定されており、制度内容が今後変更される可能性があります。
※補助金の名称・補助率・申請要件は年度ごとに改定されます。申請を検討する際は、各制度の公式サイト(中小企業基盤整備機構)で最新の公募要領を必ずご確認ください。
DX支援に関するよくある質問(FAQ)
ここではDX支援に関してよくある質問をまとめました。
- 小規模なプロジェクトでも支援は受けられますか?
-
受けられます。
DX支援は大規模なシステム刷新だけを対象とするものではありません。特定の業務のデジタル化やペーパーレス化など、小さなプロジェクトから段階的に支援を受けることが可能です。
まずは限定的な範囲で成果を出し、段階的に拡大していくアプローチが効果的です。
- 支援を受ける前に準備しておくべきことは?
-
自社の現状課題と「DXで実現したいこと」を大まかに整理しておくと、支援会社との初回面談がスムーズに進みます。
詳細な分析は支援会社が行うため、完璧な資料を用意する必要はありません。経営層と現場の双方から課題感をヒアリングしておくことが理想的です。
- 支援期間はどのくらいが一般的ですか?
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支援範囲やプロジェクト規模によりますが、3か月〜1年程度が一般的です。戦略策定のみであれば1〜3か月、実行・定着まで含めると6か月〜1年以上かかるケースもあります。
フェーズごとに区切って契約できる支援会社を選ぶと、コストとリスクの管理がしやすくなります。
- DX支援とDXコンサルは何が違いますか?
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DX支援は、コンサルティング・システム開発・公的機関のセミナーなど、企業のDX推進を外部から支える支援全般の総称です。DXコンサルは、そのなかでも経営課題を起点に戦略策定から実行まで伴走するコンサルティング型の支援を指します。
- DX支援の費用はどのくらいかかりますか?
-
支援の類型によって大きく異なります。コンサル型は月額150万〜数千万円、SI・開発会社型は開発規模に応じて数百万〜数億円、公的支援は無料〜数万円程度が目安です。
まとめ:DX支援を依頼するなら「Incubation Base」へ
DX支援とは、単なるITツールの導入ではなく、デジタル技術を活用してビジネスそのものを変革するための包括的なサポートです。外部の専門家の力を借りることで、人材不足やノウハウ不足といった課題を効率的に克服し、着実にDXを前進させることができます。
自社のDX推進を成功させるには、戦略策定だけでなく、実行から定着・自走化まで見据えた伴走型の支援パートナーを選ぶことが重要です。
「DXに取り組みたいが、何から始めればよいかわからない」「外部に頼りきりにならず、自社で運用できる体制を築きたい」とお考えであれば、戦略立案から実行・内製化支援までワンストップで伴走するIncubation Baseにご相談ください。まずは無料の壁打ち相談で、貴社の現状に合った最適なDX推進の進め方を一緒に整理するところから始められます。