「東京都 DX推進助成金」で情報を探している場合、まず押さえておきたいのは、従来の「DX推進助成金」には現在新たに申し込めないという点です。2026年度第1回の事前予約はすでに終了しており、申請の前提となる「DX推進支援事業」の新規採択も終了しています。
一方、東京都は2026年度から新たに「DX推進トータルサポート事業」を開始しました。DX・AI活用・生産性向上を対象とした助成コースが設けられていますが、2026年9月時点ではアドバイザー派遣の募集も終了しており、助成金自体の募集開始時期は未定です。
2026年9月9日時点では、従来のDX推進助成金の新規事前予約は終了しています。新制度「DX推進トータルサポート事業」もDX・AI系コースの2026年度募集は終了していますが、生産性向上コースは第2回募集が2026年10月頃に予定されています。また、DXリスキリング助成金は受付中です。
トータルサポート事業のアドバイザー派遣枠は現時点で開いていないコースが中心ですが、DXリスキリング助成金は受付中で、他にも今後追加募集が見込まれる制度があります。本記事ではこれらの選択肢もあわせて整理します。
制度の金額や要件は年度ごとに見直されるため、申請前には各制度の公式サイトで最新の募集要項を確認することをおすすめします。以下では、2026年9月時点の公表情報をもとに、各制度の詳細と選び方を順に見ていきます。
東京都のDX推進助成金・補助金 主要制度一覧

東京都のDX関連助成金は、支援の目的によって使い分けます。相談から導入まで一貫した支援を受けたい場合は「DX推進トータルサポート事業」、小規模なツール導入なら「中小企業デジタル導入促進補助事業」、社員の研修費用を抑えたい場合は「DXリスキリング助成金」が中心的な選択肢です。
| 制度 | 2026年9月時点の状況 | 主な用途 | 上限 | 助成・補助率 | 事前条件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 旧DX推進助成金 | 第1回事前予約終了 | DX投資(システム・機器等) | 3,000万円 | コース等により異なる | 旧DX推進支援事業の提案書 |
| DX推進トータルサポート助成金 | 助成金の募集開始時期未定 | DX・AI活用・生産性向上 | 最大5,000万円 | 1/2〜4/5 | アドバイザー派遣による提案書 |
| 中小企業デジタル導入促進補助事業 | 第1回終了、第2回は2026年9月頃予定 | ITツール導入 | 150万円 | 1/2〜2/3 | GビズID等 |
| DXリスキリング助成金 | 受付中(2026年3月1日〜2027年2月28日) | DX・AI研修 | 1申請企業等あたり交付決定額の年度上限100万円 | 助成率3/4 | 研修開始1か月前までに申請 |
| (国)デジタル化・AI導入補助金 | 公募回・締切ごとに確認 | 登録ITツールの導入 | 枠により変動 | 1/2〜(要件により2/3) | IT導入支援事業者と申請 |
DX推進トータルサポート事業は、DX課題の整理から導入までを伴走支援で進められる制度です。アドバイザー派遣の募集状況はコースによって異なり、DXステップアップ・DXアドバンス・AI活用の各コースおよび生産性向上コース第1回はすでに終了していますが、生産性向上コースは第2回募集が2026年10月頃に予定されています。今から新たに検討する場合は、中小企業デジタル導入促進補助事業やDXリスキリング助成金、国のデジタル化・AI導入補助金など、受付中の制度もあわせて確認してください。
※金額・補助率は2026年時点の目安です。最新情報は各制度の公式サイトでご確認ください。
DX推進トータルサポート事業
DX推進トータルサポート事業は、東京都と(公財)東京都中小企業振興公社が2026年度から実施する総合支援事業です。アドバイザー派遣を受けた企業が、提案書の内容に沿って導入経費の助成を申請する仕組みで、相談から導入・活用までを一貫して支援します。コースにより助成上限は1,500万〜5,000万円、助成率は1/2〜最大4/5です。詳細は次章で解説します。
出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「DX推進トータルサポート助成金」
過年度のDX推進助成金を探している場合の注意点
過年度には、東京都中小企業振興公社のDX推進支援事業などに基づく助成制度が実施されていました。2026年度は、新たに「DX推進トータルサポート事業」が開始されています。過年度の制度ページは募集を終了している場合があるため、申請時には2026年度の公式募集情報を確認してください。
中小企業デジタル導入促進補助事業
中小企業デジタル導入促進補助事業は、東京都中小企業振興公社が実施する、比較的小規模なデジタルツール導入向けの補助事業です。2026年度(令和8年度)は助成上限が150万円、助成率は助成対象経費の2分の1以内が基本で、小規模企業者または環境負荷軽減に資するツールを導入する場合は3分の2以内となります。
ソフトウェア本体とその導入・カスタマイズ・保守サポート費用が対象で、パソコンなど汎用性の高いハード機器は原則対象外です。特定のソフトウェアと連携する専用機器のみ、別枠上限(20万円または75万円)で例外的に対象となる場合があります。
トータルサポート事業より助成上限は小さいものの、会計ソフトや業務自動化ツールなど、比較的小規模なデジタルツール導入を対象としています。比較的小規模なデジタル化を検討する企業の選択肢になります。対象ツールや上限は種類により変わるため、募集要項での確認が欠かせません。
出典:公益財団法人東京都中小企業振興公社「中小企業デジタル導入促進補助事業」
DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金は、(公財)東京しごと財団が運営する、社員のDX研修費用を助成する制度です。都内の中小企業等が従業員にAI・データ活用・業務改善ツールなどの研修を受けさせた場合、受講費用の一部が助成されます。
助成額は、助成対象経費の4分の3で、受講者1人・1研修当たり7万5,000円が上限です。1申請企業等当たりの2026年度の交付決定上限は100万円で、上限に達するまで複数回申請できます。対象となる研修は1回3時間以上10時間未満のOFF-JTで、受講率8割以上、業務命令・労働時間内の実施、費用は企業側の全額負担が要件です。研修開始予定日の1か月前までに申請する必要があります。
既存の市販研修に申し込む「レディメイド研修」と、自社向けに設計する「オーダーメイド研修」があり、社員のスキル習得を計画的に進めたい企業に向いています。助成率・上限は年度の募集要項で確認してください。
出典:公益財団法人東京しごと財団「令和8年度DXリスキリング助成金 募集要項」
旧DX推進助成金とDX推進トータルサポート助成金の違い
「DX推進助成金」と「DX推進トータルサポート助成金」は、名称が近いため混同されやすい別制度です。新たに前提支援へ申し込んで助成金申請を開始することはできませんが、過年度にDX推進支援事業のアドバイザー派遣を受け、提案書を取得した企業向けの助成金手続きは残っています。
| 比較項目 | DX推進助成金 | DX推進トータルサポート助成金 |
|---|---|---|
| 前提となる支援 | DX推進支援事業 | DX推進トータルサポート事業 |
| 新規の支援申込 | 原則不可(DXステップアップ/アドバンス、AI活用、第1回生産性向上コースは終了) | コース・募集回による(生産性向上コースは第2回を10月頃予定、他コースは今後の追加募集を要確認) |
| 助成限度額 | 最大3,000万円 | 1,500万~5,000万円(コース・要件による) |
| 2026年9月時点の状況 | 第1回事前予約終了 | 助成金の募集開始時期は未定 |
どちらも助成金単体では申請できず、先にアドバイザー支援を受け、その提案内容に沿って導入を進める点が共通しています。現時点で新規にDX関連の助成を探している場合は、中小企業デジタル導入促進補助事業やDXリスキリング助成金、国のデジタル化・AI導入補助金もあわせて検討することをおすすめします。
DX推進トータルサポート事業とは

DX推進トータルサポート事業は、「相談」から「助成」までを一つの流れでつなぐ点が特徴です。導入する設備だけを補助するのではなく、何を導入すべきかの検討段階から専門家が伴走するため、DXの進め方が固まっていない企業でも取り組みやすくなっています。
事業内には、アドバイザー派遣(4コース)と助成金(3コース)があり、アドバイザー派遣を受けた企業が、提案書の内容に沿って助成金を申請する流れになっています。
アドバイザー派遣の4コース
- DXステップアップコース
- DXアドバンスコース
- AI活用コース
- 生産性向上コース
助成金の3コース・上限額・助成率は以下の表のとおりです。
| 助成コース | 通常上限 | 大幅賃上げ枠 | 通常助成率 | 賃上げ計画策定時等 |
|---|---|---|---|---|
| 生産性向上コース | 1,500万円 | 2,000万円 | 中小1/2、小規模2/3 | 中小3/4、小規模4/5 |
| DX推進コース | 3,000万円 | 5,000万円 | 賃上げ計画策定が基本要件 | 中小3/4、小規模4/5(未達時2/3) |
| AI活用コース | 2,000万円 | 3,000万円 | 2/3以内 | 中小3/4、小規模4/5 |
※DX推進コースは賃上げ計画の策定・達成状況により助成率が変動します。詳細は募集要項でご確認ください。
対象経費には、システム構築費・ソフトウェア購入費・機械装置等費・委託費・専門家謝金・研修費などが含まれます。
一般的な流れは次のとおりです。
- 利用申請:ポータルサイトのフォームから応募し、審査・採択を受ける
- アドバイザー派遣:現状の課題を整理し、DX戦略やAI活用計画の方向性を固める
- 計画・提案書の作成:導入するデジタル技術と費用対効果を具体化する
- 助成金の申請:提案書の内容に沿って導入経費の助成を申請する
- 導入・活用:交付決定後に契約・発注を行い、導入後の活用まで支援を受ける
なお、助成金の申請に必要なアドバイザー提案書の作成には、公式案内上、最低3か月程度を要します。そのため、助成金の募集開始を確認してから準備に着手するのでは間に合わない可能性があります。活用を検討する場合は、アドバイザー派遣の募集時期から逆算してスケジュールを組む必要があります。
この一連の支援を通じて、社内にDXの知見が少ない場合でも、計画の妥当性を確認しながら導入を進めやすくなります。
東京都のDX推進助成金と国のデジタル化・AI導入補助金の違い

東京都の助成金と国の補助金は、対象地域と支援の手厚さが大きく異なります。都の制度は都内企業に限られる一方で、アドバイザーによる相談支援が組み込まれている点が強みです。国の制度は全国共通で、対象ツールがあらかじめ登録されている点が特徴です。なお、国の「IT導入補助金」は2026年度から「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わっています。
| 観点 | DX推進トータルサポート事業 | デジタル化・AI導入補助金2026 |
|---|---|---|
| 対象地域 | 東京都内 | 全国 |
| 主な対象 | DX戦略・AI計画に基づく導入・活用 | 登録ITツールの導入 |
| 事前支援 | アドバイザー派遣が前提 | IT導入支援事業者と申請 |
| 対象範囲 | 提案書に基づく機器・システム等 | 事務局に登録されたITツール |
| 上限・率 | コース・要件により異なる | 申請枠・要件により異なる |
国の2026年度制度は「デジタル化・AI導入補助金2026」として、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。都の制度は上限が高め、国は手軽といった主観的な比較は避け、仕組みの違いを中心に整理しています。
両制度の最大の違いは、東京都のDX推進トータルサポート助成金がアドバイザー派遣による提案書を前提とする一方、国のデジタル化・AI導入補助金2026は事務局に登録されたITツールとIT導入支援事業者を軸に申請する点にあります。
DX推進助成金の選び方|目的別に使うべき制度がわかる

制度選びは「何を実現したいか」を起点にすると迷いにくくなります。目的別の目安は次のとおりです。
| やりたいこと | 主な候補 | 現在の注意点(2026年9月時点) |
|---|---|---|
| まずDX課題を整理したい | DX推進トータルサポート事業(アドバイザー派遣) | 現行募集は終了。追加募集の有無を要確認 |
| 業務システム・SaaSを導入したい | 中小企業デジタル導入促進補助事業/国のデジタル化・AI導入補助金 | 都制度は第2回が9月頃予定、国制度は公募回ごとに確認 |
| AIを組織的に業務活用・サービス活用したい | DX推進トータルサポート事業(AI活用コース) | 第1回募集は終了。追加募集の有無を要確認 |
| 社員にDX研修を受けさせたい | DXリスキリング助成金 | 受付中(研修開始1か月前までに申請) |
複数の目的がある場合も、最初から併用を前提とせず、各制度の対象範囲と併用制限を確認したうえで役割を整理することが現実的です。
DX推進助成金を申請する前に整理すべきDX課題

いきなり申請書を書き始めるのではなく、先に自社のDX課題を整理することは、制度目的と導入計画の整合性を高めるうえで重要です。課題整理が不十分なまま申請すると、導入目的と対象経費の関係が伝わりにくくなります。審査では「何のために、どの業務を、どう変えるのか」の一貫性が見られるためです。
申請前に整理しておきたい観点は次のとおりです。
- 解決したい業務課題(例:受発注の手作業、在庫の把握遅れ、問い合わせ対応の負荷)
- 導入で目指す状態と、その効果を測る指標(工数削減時間、対応件数など)
- 導入するデジタル技術の候補と、対象経費に該当するかの見込み
- 社内の推進体制(担当者・意思決定者・現場の協力)
これらを先に言葉にしておくと、アドバイザーとの相談や申請書の作成がスムーズになります。
助成金でシステム導入の費用が出るときほど、「まず基盤をきれいに整えてから」と考えがちです。ただ、Incubation Baseの現場での経験では、整え終わるのを待っていると検証そのものがいつまでも始まらないことが少なくありません。
Incubation Baseが現場で勧めるのは、申請前にA4一枚程度で整理する「DX導入整理シート」です。次の6項目を書き出すことで、アドバイザーやベンダーとの認識を合わせやすくなります。
- 現在の業務と課題
- 課題の発生量・工数・損失
- 導入するシステムや技術
- 導入後の業務フロー
- 効果を測るKPI
- 実施体制・スケジュール・概算費用
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 現状 | 受注情報を紙・Excelで二重入力 |
| 課題 | 月40時間、入力ミス月10件 |
| 導入内容 | 受発注システムと会計システムを連携 |
| 目標 | 作業時間を月10時間まで削減 |
| 体制 | 業務責任者、IT担当、導入ベンダー |
| 費用 | 初期構築、設定、研修、保守を区分 |
この整理シートを使うことで、制度目的、導入内容、対象経費、期待効果、実施体制のつながりを確認しやすくなります。導入前に試行できる場合は、小規模な検証を行い、要件や運用上の課題を確認しておくことも有効です。
※本シートは社内整理用の参考フォーマットであり、各制度の正式な申請様式ではありません。
東京都のDX関連助成金の対象になる企業要件

東京都のDX関連助成金は、都内に本店・支店・事業所等を有する中小企業者等を中心に対象としていますが、所在地要件や対象となる法人・個人事業主の範囲は制度ごとに異なります。申請前には、利用したい制度の募集要項で企業規模・所在地の判定基準を確認してください。
企業規模・業種による対象範囲の違い
対象は中小企業者等が中心で、業種は広く認められる傾向にあります。DX推進トータルサポート事業では、小規模事業者の助成率が引き上げられるなど、規模に応じた優遇が設けられています。
自社が中小企業者等に該当するかは、資本金・従業員数などの基準で判定します。判定基準は制度・業種で異なるため、募集要項の定義を確認しましょう。
導入内容によって利用できる制度が異なる
単なる機器の買い替えや、既存システムの保守のみを目的とする費用は、多くの制度で対象外になりやすい点に注意してください。導入したい内容によって、確認すべき制度も変わります。
| 導入内容 | 主に確認したい制度 |
|---|---|
| SaaS・業務ソフトの導入 | 中小企業デジタル導入促進補助事業/国のデジタル化・AI導入補助金 |
| AIを含む全社的な変革 | DX推進トータルサポート事業(AI活用コース) |
| システム・機器を含むDX投資 | DX推進助成金/DX推進トータルサポート助成金 |
| 社員のDX研修 | DXリスキリング助成金 |
対象可否は、導入目的だけでなく、制度ごとに定められた対象経費の区分で判断されます。DX計画上必要であっても、汎用パソコンや通常の通信費など、募集要項で対象外とされている経費は助成されません。
東京都のDX関連助成金|申請手順と準備すべき書類

申請は、課題整理から入金まで段階的に進みます。契約・発注・支払い・研修開始が認められる時点は制度ごとに異なります。交付決定前の契約・発注が対象外となる制度が多い一方、DXリスキリング助成金では研修開始前の申請期限が設けられています。必ず利用する制度の募集要項で着手可能時点を確認してください。
| 制度 | 2026年度の募集状況 | 申請方式・事前条件 |
|---|---|---|
| DX推進トータルサポート事業 | コースごとに募集時期・定員あり | ポータルからアドバイザー派遣を申請 |
| 中小企業デジタル導入促進補助事業 | 第1回終了、第2回は2026年9月頃予定 | Jグランツ+専用フォーム、GビズID必要 |
| DXリスキリング助成金 | 2026年3月1日~2027年2月28日 | 紙またはJグランツ、研修開始1か月前まで |
| デジタル化・AI導入補助金 | 公募回・締切ごとに確認 | IT導入支援事業者と電子申請 |
※募集状況・制度情報:2026年9月確認
ステップ1:DX課題・導入目的・費用対効果の整理
最初に、解決したい業務課題と導入目的、期待できる効果を整理します。効果は、削減できる工数や対応件数など、数値で示せると計画の説得力が高まります。
ステップ2:対象制度の確認と申請スケジュールの把握
自社の目的に合う制度を選び、募集期間と交付までのスケジュールを確認します。募集回数や締切は制度ごとに異なり、募集期間が短い制度もあるため、早めの情報収集が有効です。
ステップ3:申請に必要な書類の準備
申請書・事業計画・見積書のほか、登記事項証明書や決算書などの基本書類を準備します。制度によっては、アドバイザーの提案書や賃上げに関する書類が求められます。見積書は対象経費と対象外経費が切り分けられていることが望まれます。
ステップ4:申請書類の提出と審査対応
必要書類を揃えて申請し、審査に対応します。記載内容の不備や書類の不足は差し戻しの原因になるため、提出前のチェックが欠かせません。追加資料の求めには期限内に対応します。
ステップ5:制度で認められた時点から契約・発注・研修を開始
システム導入型の制度では、交付決定より前に発注・支払いを済ませた経費が対象外になることが多い一方、DXリスキリング助成金のように研修開始予定日の1か月前までの申請が求められる制度もあります。利用する制度の着手可能時点は、募集要項で個別に確認してください。
ステップ6:実績報告・検査から入金まで
導入完了後、実績報告書と証憑(契約書・請求書・支払記録など)を提出し、検査を経て助成金が支払われます。助成金は原則として後払いのため、導入費用を一時的に自己資金で立て替える前提で資金計画を立てておきましょう。
東京都のDX関連助成金|申請不備を防ぎ、計画の妥当性を高めるポイント

採択を保証するものではありませんが、制度目的との整合、対象経費の明確化、現状と目標の数値化は、計画の妥当性を伝えるうえで重要です。
対象経費と対象外経費を見積もりの段階から切り分ける
採択後のトラブルを避けるには、見積もりの段階で経費を区分しておくことが有効です。対象・対象外の線引きは制度で異なるため、迷う経費は事前に事務局へ確認します。
| 経費例 | 対象となる可能性がある制度 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| システム構築費 | DX推進トータルサポート事業(DX推進コース等) | 提案書・導入計画との整合が必要 |
| SaaS・業務ソフト購入費 | 中小企業デジタル導入促進補助事業、国のデジタル化・AI導入補助金 | 対象ツール・利用期間の確認が必要 |
| 専用機器 | 制度により対象(例:中小企業デジタル導入促進補助事業の別枠) | 汎用パソコン等との区別が必要 |
| 研修費 | DXリスキリング助成金 | 研修時間・受講率・申請期限の要件あり |
| 委託費・外注費 | 一部制度(対象範囲は制度ごとに異なる) | 対象業務の範囲を事前確認 |
※対象可否は制度・年度により変わります。見積もり段階で各事務局にご確認ください。
見積書は、内訳を項目ごとに分け、対象経費が判別できる形で取得します。制度ごとの上限額は募集要項の「補助対象経費」と「上限額」の項で確認できます。
現状と目標を数値で対比し、解決する課題を明確にする
計画では、現状と目標を数値で対比すると説得力が増します。たとえば「月40時間の手作業を月10時間に削減」「問い合わせ対応を1件あたり15分から5分へ短縮」のように、改善の幅を具体的に示します。
数値の裏づけとして、現状の業務時間や件数を簡単に記録しておくと、効果の見積もりが現実的になり、計画の妥当性を審査担当者に伝えやすくなります。
東京都DX助成金でよくある失敗と対策

典型的な失敗は、手続きの順序と書類管理に起因します。制度の原則を押さえておけば、多くは避けられます。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 制度で認められる前に契約・発注・研修を開始する | 各制度の着手可能時点と申請期限を確認する |
| 見積書の内訳が不十分で対象経費が不明確 | 項目ごとに分けた見積書を取得し、対象外を区分する |
| 実績報告の証憑が不足する | 契約書・請求書・支払記録を導入時から保管する |
| スケジュールの遅延で期限に間に合わない | 導入・報告の締切から逆算して余裕を持って進める |
書類準備、見積取得、発注管理、実績報告には複数部門やベンダーが関係することが多いため、申請担当者だけで管理すると確認漏れが生じることがあります。見積書の内容確認や証憑の保管は、導入するシステム開発会社やベンダーとの連携が欠かせない作業であり、社内だけで完結させようとすると抜け漏れが起こりやすくなります。
申請前の段階から、ベンダー側にも交付決定後でなければ発注できないというルールや、対象経費と対象外経費の区分を共有しておくと、見積書の作り直しや書類の再取得といった手戻りを防ぎやすくなります。実績報告期限の算定方法は制度ごとに異なるため、交付決定後に通知される助成対象期間・報告期限を必ず確認し、社内カレンダーだけでなく導入スケジュール全体を事務局側ともすり合わせておくと安心です。
東京都のDX関連助成金に関するよくある質問(FAQ)

東京都のDX関連助成金について、相談の多い質問をまとめます。
- 助成金の申請から入金まで、どのくらいの期間がかかりますか?
-
制度や時期によりますが、申請から入金まで数か月以上かかるのが一般的です。助成金は導入完了後の後払いが原則で、実績報告と検査を経てから支払われます。導入費用を一時的に立て替える前提で、資金繰りを計画しておくと安心です。
- 大企業やみなし大企業は利用できますか?
-
本記事で扱う東京都のDX推進トータルサポート事業、中小企業デジタル導入促進補助事業、DXリスキリング助成金は、いずれも中小企業者等を主な対象としています。制度によっては、みなし大企業を明確に対象外と定めている場合もあります。自社が対象に該当するかは、資本金・従業員数などの基準にもとづき、利用したい制度の募集要項で確認してください。
- DXの外部委託費(コンサルティング・システム開発費)は助成対象になりますか?
-
システム開発費や委託費は、制度上は対象経費に含まれる場合があります。一方で、経営全般のコンサルティング費用など、DXの導入に直接結びつかない費用は対象外となることがあります。委託の範囲が対象に該当するかは、見積もりの段階で事務局に確認するのが確実です。
- アドバイザー派遣を受けていないと助成金は申請できませんか?
-
DX推進トータルサポート事業では、アドバイザー派遣を受けた企業が助成の対象となる設計です。一方、中小企業デジタル導入促進補助事業のように、アドバイザー派遣を前提としない制度もあります。制度ごとに条件が異なるため、募集要項で申請の前提条件を確認しましょう。
- 複数の制度を併用して申請することは可能ですか?
-
複数制度を利用できる場合はありますが、同じ経費に対する重複助成は原則として認められません。また、経費を分けた場合でも、同一事業や他の公的助成との関係から併用できないケースがあります。たとえばDXリスキリング助成金は、対象研修について国や地方公共団体から他の助成を受けていないこと、今後受ける予定もないことが要件です。複数制度の併用を検討する場合は、それぞれの事務局へ事前に確認してください。
- 東京都のDX推進助成金の採択率は公表されていますか?
-
制度によっては採択件数や採択事例が公表されても、応募総数や採択率そのものは公表されない場合があります。そのため、他の助成金・補助金と単純に採択率を比較して優劣を判断することは難しいのが実情です。
採択率の数値にとらわれるよりも、自社が対象要件を満たしているか、対象経費と対象外経費が明確に切り分けられているか、そして審査で重視される「計画の妥当性」が伝わる内容になっているかを確認する方が重要です。募集要項に記載された審査項目や加点要素を事前に確認し、計画書・見積書の内容をそれに沿って整えることで、申請内容の不整合や書類不備を防ぎやすくなります。
まとめ:東京都のDX推進助成金を活用し、スモールスタートで着実な一歩を

東京都のDX推進助成金は、費用負担を抑えながらDXを進めるための有力な選択肢です。「まずは自社の課題を整理し、目的に合う制度を選び、交付決定後に導入を進める」という順序を守ることで、申請不備を防ぎながら着実に前進できます。
一方で、制度選びや課題整理、導入から運用定着までを社内だけで進めるのは負担が大きい場合もあります。Incubation Base株式会社では、助成金申請の代行ではなく、助成対象となり得るDX施策の課題整理、導入構想、要件整理、システム・AI導入、運用定着を支援しています。
「どの業務を対象にするか決まっていない」「導入内容や費用対効果を整理したい」といった段階からご相談いただけます。申請資格、対象経費、併用可否については、各制度の事務局または対応可能な専門家へご確認ください。