新規事業アイデア事例集10選|企業成長をかなえる事業の考え方

コラム一覧へ戻る

企業が成長し競争力を維持するには、既存事業だけでは不十分です。ときには新しい事業を創出しなくてはならない場面もあります。しかし、新しい商品やサービス・ビジネスモデルは簡単に思いつくものではありません。

そこで、新規事業アイデアを考える際に役立つ成功事例を10点ご紹介します。あわせて企業成長をかなえる事業の考え方にも触れますので、参考にしてください。

この記事でわかること
  • 新規事業アイデアの重要性と役割
  • アイデア創出に役立つ事例
  • 事業化できる新規事業アイデアの考え方
  • 創出したアイデアを事業化する方法
目次

新規事業におけるアイデアの重要性と役割

新規事業は企業の成長と競争力を持続するうえで非常に重要な役割を果たします。自社をより成長させるアイデアを考案・選定するためにも、まずは新規事業アイデアの役割と重要性をおさえておきましょう。

企業存続に不可欠な「第二の柱」の構築

事業の成長には限界があります。また、成長の伸びしろがあっても、市場が飽和状態では利益を得るのは難しいでしょう。このような状況でも利益を得るには、新しい収入源が必要です。

既存事業が限界を迎えていても新規事業があれば、利益の減少や企業の衰退を避けられます。このことから、新規事業は企業を支える第二の柱として重要な役割を果たすといえます。

変化の激しいビジネス環境への適応とリスク分散

現在のビジネスは技術の進化やグローバル化、それによる消費者の嗜好やニーズの多様化により常に急速に変化しています。状況によっては、既存事業だけでは対応できない可能性もあるでしょう。

常に変化する環境に対応するには、新しい機会を得るための行動を取らなくてはなりません。新規事業はこの行動のひとつといえます。

また、新規事業は企業のリスク分散対策としても有効です。複数の事業を展開していれば、ひとつが不調に陥っても別の事業で収益を補えます。企業全体の安全性が向上すれば、長期的な視野で成長戦略を描けるようになります。

新規事業アイデア事例一覧10選

一口に新規事業といっても、その成功の形はさまざまです。

ここでは、単なる事業規模の大きさだけでなく、「競合との差別化ポイント(アイデア)」や「既存アセットのユニークな活用」において、これから新規事業を立ち上げる方のヒントとなる事例を厳選してご紹介します。

※他にもさまざまな優れたアイデアはあると思いますが、当社内で議論をする中で出た事例を一部ピックアップしています。

CraftBank

「CraftBank(クラフトバンク)」は、建設工事に従事する職人と工事依頼者をつなぐマッチングプラットフォームのひとつです。

CraftBankは建設業界の課題であるIT化に注目し、テクノロジーによって工事の受発注の利便性を向上させました。システムでは職人の評価を可視化しており、職人のスキルや受注実績をプロフィールで確認できます。

受発注の利便性を高めることで、既存サービスとの差別化を図りつつ、スキルに適した案件を適切な単価で請けられる環境を構築しました。

出典:CraftBank

PROFFIT

「PROFFIT」は自社の課題や予算に合ったコンサルタントをオンラインで選定できるサービスです。アドバイザーと依頼内容を絞ることで、データベースに登録されたコンサルタントから提案を集められます。

企業が自社の課題解決に適したコンサルタントを選定するのは非常に困難です。PROFFITはこの課題に着目し、コンサルタント探しと依頼における負担軽減を実現しました。コンサルタント側も営業に割く時間を削減し、本業に注力できます。

双方の課題に着目しそれを改善することで成功した好例です。

出典:PROFFIT

BLEACH

「株式会社BLEACH」は、マーケティングを一気通貫で支援する総合マーケティング事業をD2C業界に特化して提供している企業です。

自社データベースに登録されたマーケターや独自データベースを活用した、戦略アドバイスや施策を実施します。

株式会社BLEACHは、初期費用がかからず、売上を顧客とシェアする「レベニューシェア型」の報酬体系を取っています。そのため顧客はコンサルティング費用を事前に確保する必要がありません。予算が限られている企業でも依頼できます。

顧客が依頼しやすい環境を整えることで、同業他社との差別化に成功しつつ、依頼数を得ている事例といえます。

出典:株式会社BLEACH

SmartHR

「SmartHR」は入退社手続きや年末調整などの労務業務をデジタル化するSaaSです。アナログ業務の負担が多い領域に絞ってサービスを提供することで、バックオフィスの生産性課題を解決していきました。

企業側はバックオフィス作業の工数削減を、従業員側は入力・提出の負担軽減をと、利用者全体の業務負担軽減に成功しています。

課題が明確で頻度の高い業務に注目し、導入による効果を感じやすい設計にすることで、サービスの定着と拡大を実現しました。

出典:SmartHR

メドレー(CLINICS)

株式会社メドレーは、医療ヘルスケア領域の人材採用システムや、クラウド診療支援システム「CLINICS(クリニクス)」を提供する企業です。

同社の提供する「CLINICSオンライン診療」は、診察予約から事前の問診、ビデオ通話での診察、クレジットカードによるキャッシュレス決済までをワンストップで完結させるシステムです。

2015年8月に厚生労働省が遠隔診療に関する解釈を明確化する事務連絡を発出したことを背景に、メドレーは翌2016年2月から「CLINICSオンライン診療」の提供を開始しました。法規制や社会情勢(コロナ禍など)の変化に合わせてサービスをアップデートしながら、オンライン診療の普及に対応してきた事例です。

出典:株式会社メドレー

ワークマン(WORKMAN Plus)

ワークマンは、強みを活かした新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」により、一般消費者向け市場の開拓に成功しました。

成功の鍵は「ターゲットの変更」と「見せ方の転換」です。過酷な環境に耐えるプロ向けの「高機能」かつ「低価格」な商品は、実はアウトドアやスポーツを好む一般ユーザーのニーズにも合致します。そこに目をつけ、商品はそのままに、店舗デザインや陳列方法をカジュアルに変更しました。

莫大なコストをかけて新商品を開発するのではなく、既存商品の価値を再定義し、ターゲットを変えることで「高機能ウェアの低価格帯」というブルーオーシャンを開拓した好例です。

出典:ワークマン

ダイハツ工業(らくぴた送迎)

自動車メーカーのダイハツ工業株式会社は、車を利用したさまざまなサービスを提供しています。そのひとつが、通所介護事業者向け送迎支援システム「らくぴた送迎」です。

通常、デイサービスなどの通所介護は施設スタッフがサービス利用者の送迎を行います。しかし、運行計画の作成が複雑で効率的に送迎するのが難しいという課題を抱えていました。

らくぴた送迎はこの課題を改善するために、以下のシステムを構築しています。

  • 送迎前の半自動的な最適ルートの作成
  • データ入力だけで簡易的に作成できる運行計画

これにより、施設スタッフの送迎で発生する負担を大きく軽減しました。自社の既存事業で得たノウハウを新しい形で活かし、成功させた好例です。

出典:ダイハツ工業株式会社

富士フイルム(アスタリフト)

富士フイルムは、写真フィルムやカメラ製造・医薬品事業など多方面で事業を展開しています。そのなかでもとくに注目を集めているのが、化粧品ブランドの「アスタリフト」です。

2006年にリリースされたこのブランドは、写真フィルムで培ってきた技術を応用し、高品質な化粧品を開発・提供しています。現在でも他社にはない技術を活かした化粧品を発表し、多くの顧客から注目と支持を集めています。

ダイハツ工業株式会社同様、既存事業を活かした事例です。市場が縮小している事業(フィルム事業)の技術を別事業で活用し成功したという点では、非常に興味深い事例ともいえます。

出典:富士フイルムホールディングス株式会社

タニタ

タニタは計測器メーカーとしての強みを生かしつつ、健康習慣を身近な形に落とし込む商品や施策を展開しています。その代表例が、社員食堂のヘルシーメニューを提供するレストラン「タニタ食堂」や、女性専用30分フィットネスジム「フィッツミー」の運営です。

単に健康を測る機器を売るだけでなく、食事や運動といった「続けられる体験」を提供することで、ブランドとの接点増加に成功した事例です。

プロダクトではなく習慣に起点を置いて価値を組み立てることで、顧客の共感と継続の両方を獲得できました。この事例からは、既存事業の起点を変えつつ顧客目線に立つことで、新規事業を創出するアイデアを学べます。

出典:株式会社タニタ

SmartNews

ニュースアプリである「SmartNews」は、生活者の習慣領域で情報を整理し直すことでユーザー基盤を構築しました。情報過多の時代を理解し、読む負担を減らしつつ必要な情報を届けることで成功した事例です。

ユーザーに適切な情報を提供することで広告などを含む収益モデルを成立させました。ユーザーの体験や使いやすさを優先したことで成功した事例ともいえます。

出典:SmartNews

成功する新規事業アイデアの判断基準・ポイント

新規事業アイデアは、思いついたものを手あたり次第実践すればいいものではありません。事業に結びつくか、利益をきちんと出せるかを判断する必要があります。

アイデアを考案したら、以下の判断基準に従って事業に結びつくかチェックしましょう。

競合他社にはない「独創性・優位性」の有無

収益化が見込めそうなアイデアを思いついても、独創性がなければ他社の事業に埋もれてしまいます。自社にしかない強みとして活かせるかは、新規事業アイデアを判断するうえで重要なポイントです。

また、自社にはないアイデアや事業でも、すでに他社が展開していたというのも珍しくはありません。似た商品やサービスがある場合は、そこに自社だけの価値や優位性を付与できる要素はないか探す必要があります。

顧客の「不(課題)」解決と市場ニーズの合致度

新規事業成功のポイントのひとつが、顧客の課題を解消できるかという点です。アイデアを事業化するときは、自社の独自性や優位性だけでなく顧客の課題や悩みを解消し、価値を届けられるかもチェックしましょう。

顧客の課題解決やニーズを満たせない事業では、市場の支持を得られません。「誰かの役に立つ」「市場に必要とされる」商品やサービスであるかも、重要なポイントです。

持続可能な「収益モデル(マネタイズ)」の実現性

顧客に求められる商品やサービスでも、収益モデルを実現できなければ新規事業を展開する目的を果たせません。事業化したときにどの程度収益を見込めるか、シビアにチェックしましょう。

ここで重要になるのが「市場規模(課題の大きさ)」です。ビジネスとして成功し収益化するためには、一定程度スケールする事業でなければなりません。解決しようとしている「不(課題)」が深く、対象となる市場が大きければ、それだけ収益化のチャンスも広がります。

単にマネタイズの仕組みがあるだけでなく、既存の市場を代替できるポテンシャルがあるかなど、事業の拡張性も考慮に入れましょう。これらを踏まえ、中長期的な収益計画を説明できるように準備することが大切です。

新規事業アイデアが思いつかない時の発想法・フレームワーク

新規事業アイデアは簡単に思いつくものではありません。事業として成立するためのアイデアを考えようとしてもうまくいかないこともあるでしょう。このような状態に陥った場合、以下の発想法やフレームワークが役立ちます。

アイデアが思いつかないときの参考にしてください。

自社アセット(強み・弱み)の棚卸しと再定義

アイデアが浮かばない時は、いきなり自社の強み(シーズ)から考えるのではなく、まずは身近な「不(不便・不満)」に目を向けてみましょう。

社内の人や自分自身が仕事や生活で感じている不便をヒアリングし、たった一人でも強烈に感じているニーズ(N=1のニーズ)を見つけ出します。そして、その「不の深さ(いくら払ってでも解決したいか)」と「人数(同じ悩みを持つ規模)」を掛け合わせ、事業として成り立つかを確認することも重要です。

解決すべき課題が明確になったら、それを解決する手段として自社アセットを棚卸し・再定義しましょう。自社の強みやリソースを組み合わせることで、実現可能なビジネスのヒントが得られます。分析の対象としては、以下のものがあります。

  • 自社商品やサービス
  • 自社従業員
  • 既存事業のノウハウ

これらを分析し、発見した「不」を解消するために活かせる強みを探してみましょう。なお、外部環境や状況は常に変化しています。自社分析と再定義は定期的に実施してください。

異業種の成功モデルを参考にする「タイムマシン経営」

新規事業アイデアに活かせるのは、自社アセットだけではありません。他社の成功ビジネスモデルも活用できます。他社の既存ビジネスモデルを参考に、新規事業のアイデアを考えてみましょう。

海外ですでに流行しているビジネスや、国内の異業種で成功しているモデルも参考にできます。「なぜ成功したのか」を分析し、自社で再現できそうな部分を探してみましょう。

既存事業への「付加価値(プラスワン)」の創出

ビジネスは、人が目を向けないものから価値を見出すこともあります。既存企業の主要顧客層では見向きもしなかったものが、別の顧客層に支持されるというのも珍しくはありません。

自社やその周囲にあるものに目を向けてみましょう。既存事業に付加価値を与えることで、新規事業につながるかもしれません。

アイデアを「絵に描いた餅」にせず事業化する方法

アイデアの事業化は簡単ではありません。事業化する前に頓挫する可能性もあります。新規事業を成功させるためにも、アイデアを事業化させる方法もあわせておさえておきましょう。

「企画」と「開発(実装)」の壁を理解する

アイデアが頓挫する原因のうちありがちなのが、コストやリソースに対する理解不足です。企画した商品やサービスを実際に提供するには、開発・実装にこぎつけるためのコストやリソースがきちんとあるかを理解する必要があります。

アイデアを考案したらすぐに実践するのではなく、プロトタイピングやMVP(実用最小限の製品)を作成しましょう。実際に動く商品やサービスを見ながら、企画の細かい部分を調整してください。

アイデア創出から実装まで伴走できるパートナーを活用する

現実的なアイデアを思いつかない場合は、外部パートナーの手を借りるのも有効です。

自社の既存事業にまったく新しい付加価値を与えたい場合や、今までノウハウのなかった事業に着手する際は、プロの手を借りることも視野に入れましょう。

新規事業アイデアをスムーズに実装につなげるには、現実的なアイデアを創出する必要があります。外部パートナーを選出する際は、アイデア創出だけでなく実装まで伴走できる企業を選ぶのがポイントです。

新規事業アイデア事例から学び、自社ならではの価値を創出しよう

新規事業アイデアはただ考えているだけでは思いつきません。実際の成功事例を参考にしつつ、自社の価値を確認・創出しましょう。また、アイデア創出の際は実際に事業化できるかにも注目しながら検討してください。

目次