事業開発と新規事業の違いとは?組織的な役割や業務範囲を解説

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事業開発と新規事業の違い

ビジネスの現場において、「事業開発(BizDev)」と「新規事業」は頻繁に使われる言葉ですが、その定義や境界線は曖昧なまま扱われるケースが少なくありません。

結論から申し上げますと、この二つは「機能(手段)」と「対象(目的)」という観点で大きく異なります。言葉の定義を正しく理解せず組織を組成すると、ミッションが不明確になり、事業成長の鈍化を招く恐れがあります。

本記事では、事業開発と新規事業の違いを体系的に整理し、それぞれの業務内容や成功に必要な視点について解説します。

この記事でわかること
  • 事業開発と新規事業の決定的な定義の違い
  • それぞれの業務領域と担当フェーズの比較
  • 各役割に求められるスキルセットとマインド
  • 組織として成果を出すための連携ポイント
目次

事業開発と新規事業の違いと定義

事業開発と新規事業の違いと定義

事業開発と新規事業の違いは、主に「活動の性質」と「扱う領域の広さ」にあります。

事業開発は「事業の価値を高め、拡張するための機能や活動全般」を指すのに対し、新規事業は「これまでにない新しい商品やサービスを立ち上げるプロジェクトそのもの」を指す傾向があります。つまり、事業開発という広い活動の中に、新規事業の立ち上げが含まれる場合もあれば、既存事業の拡張が含まれる場合もあります。

両者の違いを整理すると、以下の表のようになります。

項目事業開発(Business Development)新規事業(New Business)
定義事業価値を向上・拡張させるための活動・機能新たな収益の柱を作るための事業・プロジェクト
対象既存事業の拡張、アライアンス、新規立ち上げ0→1の立ち上げ(新市場・新商品)
目的企業の持続的な成長、競争優位性の確立新たな収益源の確保、リスク分散
期間中長期的な継続活動立ち上げから収益化までの特定フェーズ
重視点外部パートナーとの連携、ビジネスモデルの進化顧客課題の発見、プロダクト開発(PMF)

※PMF(Product Market Fit):提供する商品やサービスが、特定の市場において顧客の課題を解決し、受け入れられている状態のこと。

成長機能とプロジェクトの差異

事業開発は、企業の成長を牽引するための「機能」としての側面が強い言葉です。既存事業の売上を伸ばすために他社と業務提携(アライアンス)を行ったり、販路を拡大したりする動きも事業開発に含まれます。

一方で、新規事業は「特定のプロジェクト」を指すことが一般的です。社内のリソースを活用し、全く新しい市場へ参入する場合や、新プロダクトを開発する場合など、明確な「0から1」の創造が求められます。

既存資産の活用と探索の深度

事業開発と新規事業の違いは、既存資産(アセット)へのアプローチにも現れます。

事業開発では、自社がすでに持っている顧客基盤、技術、ブランドなどの資産を「いかに外部と組み合わせてレバレッジ(てこ入れ)するか」を重視します。既存の強みを最大化する戦略的な動きです。

対して新規事業では、既存資産にとらわれすぎず、未知の顧客ニーズを探索することが重視されます。

時には既存事業と競合する可能性(カニバリゼーション)があっても、将来の市場を確保するために新たな価値提供を模索する必要があります。

収益化までの時間軸と評価

時間軸の捉え方にも違いが見られます。事業開発は、企業が存続する限り継続的に行われるべき活動であり、終わりがありません。常に新しい機会を探し、事業をアップデートし続けるプロセスです。

新規事業は、立ち上げから黒字化(単月黒字など)までのロードマップが引かれ、特定の期間内での成果検証が厳しく求められます。フェーズごとに撤退基準(撤退ライン)を設け、投資対効果をシビアに判断する点が特徴です。

事業開発と新規事業の違いに基づく業務内容

事業開発と新規事業の違いに基づく業務内容

言葉の定義の違いは、日々の具体的な業務内容にも反映されます。企業規模や方針によって重複する部分はありますが、一般的に担当者が注力すべき業務は異なります。

アライアンス形成と提携戦略

事業開発の担当者が主に行う業務は、外部パートナーとの関係構築です。

自社単独では解決できない課題や、リーチできない顧客層に対して、他社との提携を通じて解決策を模索します。具体的には、提携先の選定、交渉、契約締結、そして協業によるシナジー(相乗効果)の創出までを一貫して担当します。場合によってはM&A(企業の合併・買収)の検討も業務範囲に含まれます。

顧客課題の発見とプロトタイプ検証

新規事業の担当者は、徹底的な顧客理解とプロダクト作りに時間を割きます。

まだ世の中にない価値を提供するため、ターゲットとなる顧客へのインタビューを行い、潜在的な課題を掘り起こします。その後、MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)と呼ばれる試作品を開発し、実際に顧客に使ってもらいながら仮説検証を繰り返します。泥臭い現場検証が業務の中心となります。

事業計画の策定とリソース管理

事業計画(ビジネスプラン)の作成は両者に共通する業務ですが、その視点は異なります。

事業開発では、既存事業とのシナジーや全社的なポートフォリオ(事業の組み合わせ)を意識した計画が求められます。一方、新規事業では、不確実性が高い中でいかにリスクを抑えつつ市場参入するかという、実行可能性と撤退ラインを明確にした計画策定が重要となります。

事業開発と新規事業の違いにより求められるスキル

事業開発と新規事業の違いにより求められるスキル

業務内容が異なれば、当然ながら担当者に求められるスキルセットやマインドセットも異なります。適材適所の配置を行うために、それぞれの特性を理解しておくことが重要です。

構想力と巻き込み力

事業開発において特に重要なのは、ビジネス全体を俯瞰する「構想力」と、社内外を巻き込む「交渉力」です。

自社の強みと他社の強みを掛け合わせた時に、どのようなインパクトが生まれるかを描き、それを関係者に魅力的に伝えるプレゼンテーション能力が欠かせません。利害関係の異なるパートナーとWin-Winの関係を築く調整力が求められます。

仮説検証力と突破力

新規事業では、正解のない問いに対して答えを見つけ出す「仮説検証力」と、困難を乗り越える「突破力」が必要です。

計画通りに進まないことが前提であるため、失敗を恐れずに小さなテストを繰り返し、高速でPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回す行動力が重視されます。また、社内の反対や市場の無反応といった壁にぶつかっても、情熱を持って推進し続けるマインドセットが不可欠です。

論理的思考と計数感覚

どちらの職種にも共通して必要なのが、論理的思考力(ロジカルシンキング)と計数感覚です。

事業開発では投資対効果(ROI)の説明責任が、新規事業ではユニットエコノミクス(顧客1人あたりの採算性)の設計が求められます。感情や勢いだけでなく、数字に基づいて事業の健全性を判断できるスキルは、ビジネスを成功させるための基礎となります。

事業開発と新規事業の違いに関するFAQ

ここでは、事業開発と新規事業の違いに関してよく寄せられる疑問について回答します。

事業開発と新規事業の違いは、会社の規模によって変わりますか?

はい、変わります。スタートアップや小規模な企業では、リソースが限られているため、事業開発と新規事業の担当者が同一である(あるいは経営者が兼務する)ケースが一般的です。一方、大企業では「経営企画室」「新規事業開発部」「アライアンス推進部」のように機能別に細分化され、役割分担が明確になる傾向があります。

営業職と事業開発の違いは何ですか?

営業職は「既存の商品・サービスを顧客に販売し、売上を上げること」が主なミッションです。対して事業開発は、「売れる仕組みそのものを作ること」や「商品・サービスの価値自体を拡張すること」がミッションです。営業が「今の商材」を売るのに対し、事業開発は「未来の商材や市場」を作ると考えると分かりやすいでしょう。

未経験から目指すならどちらが良いですか?

これまでのキャリアによります。営業やマーケティングで「顧客折衝」の経験が豊富であれば、アライアンスを組む事業開発への適性が高い可能性があります。一方で、エンジニアやデザイナーとして「モノ作り」の経験がある、あるいは自ら課題を発見して解決することに強い情熱がある場合は、新規事業の立ち上げに向いている場合があります。

まとめ

本記事では、事業開発と新規事業の違いについて、定義、業務内容、スキルセットの観点から解説しました。

  • 事業開発:事業価値を拡張する「機能・活動」。アライアンスや既存事業強化を含む。
  • 新規事業:0から1を生み出す「プロジェクト」。顧客課題の発見とPMFが中心。

両者は異なる特性を持ちますが、企業の持続的成長にはどちらも欠かせない要素です。重要なのは、自社の課題が「既存事業の限界突破(事業開発)」にあるのか、「新たな収益源の創出(新規事業)」にあるのかを見極め、適切な戦略と組織体制を構築することです。

もし、貴社において新規事業の立ち上げや、既存事業の拡張に向けた事業開発の推進や体制構築にお悩みであれば、ぜひ一度ご相談ください。

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