新規事業の成否は、アイデアの良し悪しよりも「誰がやるか」で決まります。どれほど優れた事業コンセプトがあっても、それを推進する人材が適切でなければ事業は軌道に乗りません。
本記事では、新規事業開発に向いている人の特徴から、必要なスキル、社内での見極め方、理想的なチーム編成、そして適任者がいない場合の解決策まで、実践的な視点で解説します。
- 新規事業開発に向いている人の5つの特徴と資質
- 0→1フェーズで必要となる5つの必須スキルセット
- 既存事業の評価では測れない新規事業適性の見極め方
- 成功する新規事業チームの理想的な編成と役割分担
- 社内に適任者がいない場合の育成・外部活用の選択肢
- 新規事業人材に関するよくある疑問への回答
新規事業開発では、単なる「優秀な人材」ではなく、不確実性を楽しみ、顧客視点と事業視点を行き来しながら、ゼロから価値を生み出せる人材が必要です。また、一人のエースに依存するのではなく、異なる強みを持つメンバーで構成される少数精鋭のチームを編成することも効果的です。
事業開発・新規事業に向いている人の特徴

新規事業で成果を上げる人材には、共通する特徴があります。これらの特性を持つ人材を選定することで、事業成功の確率を大きく高めることができます。
不確実な状況でも意思決定できる人
新規事業では、十分なデータや前例が存在しない状況で重要な判断を下す場面が頻繁に発生するため、不確実性の中でも仮説を立て、リスクを評価し決断できる能力が必要です。
また、決断した後も市場の反応を見ながら柔軟に方向修正できる柔軟性も重要な資質です。
不確実性に対する耐性が高い人材は、曖昧な状況でもストレスを感じにくく、むしろその環境を刺激的だと感じる傾向があります。完璧な情報が揃うのを待つのではなく、60〜70%の確信度で前に進める行動力が新規事業の推進には不可欠です。
正解のない課題を楽しめる人
新規事業では明確な正解が存在せず、試行錯誤を繰り返しながら最適解を探していくプロセスが求められます。このような状況を苦痛ではなく、むしろ楽しめる志向性を持つ人材が新規事業に向いています。
既存事業では、確立された手順や成功パターンに従って業務を遂行することが評価されますが、新規事業では自ら道を切り拓く必要があります。正解がわからない中で仮説を立て、検証し、失敗から学び、次の行動に活かすというサイクルを前向きに回せる人材が成果を出せるでしょう。
また、失敗を「学習の機会」と捉えられるマインドセットも重要です。新規事業では失敗は避けられないものであり、むしろ早く失敗しそこから得られる洞察を次に活かすことが成功への近道といえます。失敗を恐れて行動を躊躇するのではなく、小さく試して素早く学ぶアプローチを取れる人材が新規事業開発には適しています。
顧客視点と事業視点を行き来できる人
新規事業の成功には、顧客のニーズを深く理解すると同時に、それをビジネスとして成立させる視点が必要です。この2つの視点を柔軟に行き来できる人材が、新規事業開発に向いています。
顧客視点とは、顧客が抱える課題や不満を共感的に理解し、「本当に価値のある解決策は何か」を考える姿勢です。一方、事業視点とは、その解決策をどのように収益化し、持続可能なビジネスモデルとして成立させるかを考える視点です。どちらか一方に偏ると、顧客に愛されるが収益化できない製品、あるいは収益性は高いが顧客が求めていない製品が生まれてしまいます。
効果的な新規事業開発者は、顧客インタビューや市場調査を通じて顧客の声に謙虚に耳を傾けつつ、同時に収益構造、コスト、競合優位性といった事業の観点からも検討を加えることができます。この両方のバランスを取りながら、「顧客にとって価値があり、かつビジネスとして成立する」解決策を見出せる能力を持つ人もまた新規事業開発に適しています。
当事者意識とやり抜く力(GRIT)を持っている人
新規事業は短期間で成果が出ることは稀であり、困難や障壁に直面しても諦めずにやり抜く力が必要です。これは心理学でGRITと呼ばれる資質であり、長期的な目標に向けて情熱と粘り強さを持ち続ける能力を指します。
当事者意識とは、事業の成否を他人や環境のせいにせず「自分が何とかする」という主体的な姿勢です。新規事業では予期せぬ問題が次々と発生し、計画通りに進まないことが一般的です。このような状況でも責任を外部に転嫁せず、自ら解決策を見出し行動できる人材が成果を出します。
また、新規事業では社内外からの批判や疑問にさらされることも少なくありません。「本当に成功するのか」「リソースの無駄ではないか」といった声に対しても、事業への信念を持ち続け、粘り強く説得と実行を続けられる精神的な強さが求められます。ただし、これは頑固さとは異なり、市場からのフィードバックには謙虚に耳を傾けつつ、事業のビジョンは曲げないというバランス感覚があることが重要です。
周囲を巻き込むコミュニケーション能力がある人
新規事業は一人では成し遂げられず、社内外の多様なステークホルダーを巻き込む能力が不可欠です。経営層からの支援獲得、他部署との連携、顧客や外部パートナーとの関係構築など、効果的なコミュニケーションが事業推進を左右します。
巻き込み力とは、単なる説得力だけでなく、相手の立場や関心を理解し、Win-Winの関係を構築する能力です。たとえば、経営層に対しては事業の戦略的意義や成長可能性を示し、現場メンバーに対しては具体的なビジョンと役割を明確にすることで、それぞれが協力したくなる動機を作り出します。
また、新規事業では顧客との対話が極めて重要です。顧客から本音を引き出し、表面的なニーズではなく根本的な課題を理解するためには、信頼関係を構築するコミュニケーション能力が求められます。さらに、チーム内では異なる専門性を持つメンバー間で円滑に情報を共有し、建設的な議論を促進できるファシリテーション能力も重要な資質です。
新規事業開発に向いている人に求められる5つの必須スキル

新規事業開発では、前述した資質に加えて、具体的なスキルセットも必要です。0→1フェーズでとくに重要となる5つのスキルについて解説します。

顧客の課題を特定する「ユーザーヒアリング・リサーチ力」
新規事業の出発点は、解決すべき顧客の課題を正確に把握することです。ユーザーヒアリング・リサーチ力とは、顧客との対話や観察を通じて、表面的なニーズではなく根本的な課題を発見する能力を指します。
効果的なヒアリングでは、単に「何が欲しいか」を聞くのではなく、顧客の行動、感情、文脈を深く理解します。たとえば「現在どのような方法でこの作業を行っているか」「その過程でどのような不満や困難を感じているか」「理想的にはどうなっていれば良いか」といった質問を通じて、顧客自身も明確に認識していない課題を浮き彫りにします。
また、定性的なインタビューだけでなく、定量的な市場調査、競合分析、行動データの分析など、多角的なリサーチ手法を組み合わせることで、より正確な顧客理解が可能になります。このスキルは経験を通じて磨かれるものであり、多くの顧客と対話し、仮説検証を繰り返すことで向上していきます。
収益構造を設計する「ビジネスモデリング力」
優れた製品やサービスがあっても、それを収益化する仕組みがなければ事業は成立しません。ビジネスモデリング力とは、「誰に、何を、どのように提供し、どう収益を得るか」という事業の設計図を描く能力です。
ビジネスモデルの設計では、ターゲット顧客、提供価値、収益モデル(単発販売、サブスクリプション、フリーミアムなど)、コスト構造、競合優位性、成長戦略などを総合的に検討します。リーンキャンバスやビジネスモデルキャンバスといったフレームワークを活用することで、事業の全体像を整理し検証すべき仮説を明確化しやすくなるでしょう。
また、単に一つのビジネスモデルを作るだけでなく、複数の選択肢を比較検討し、最適なモデルを選択する能力も重要です。市場の反応を見ながら収益モデルを柔軟に調整できる視野の広さも重視しましょう。
最小限の機能で検証する「MVP企画力」
新規事業では、完璧な製品を作ってから市場に出すのではなく、最小限の機能で仮説を検証するMVP(Minimum Viable Product、実用最小限の製品)のアプローチが効果的です。MVP企画力とは、「何を作れば仮説を検証できるか」を見極め、スピーディに実現する能力を指します。
MVPの本質は、「最小の労力で最大の学びを得る」ことにあります。顧客が本当に価値を感じる機能は何か、どの機能があれば製品を使ってもらえるかを見極め、それ以外の要素は一旦削ぎ落とします。このプロセスでは、「何を作らないか」を決める判断力が重要であり、完璧主義を捨てて80%の完成度で市場に出す勇気が求められます。
また、MVPは一度作って終わりではなく、顧客のフィードバックを基に素早く改善を繰り返すことが前提です。そのため、柔軟に変更できる設計や、検証結果を次の改善に活かすサイクルを回す能力も、このスキルに含まれます。
数値に基づき判断する「データ分析・グロース力」
新規事業では、主観や直感だけでなく、客観的なデータに基づいて判断することが成功の鍵です。データ分析・グロース力とは、事業の健全性を示す指標を設定し、データを収集・分析し、改善策を実行する能力を指します。
新規事業で重要な指標には、顧客獲得コスト、顧客生涯価値、コンバージョン率、継続率、Net Promoter Score(顧客推奨度)などがあります。これらの指標を定期的にモニタリングし、どこに課題があるかを特定し、優先順位をつけて改善施策を実行します。
また、グロース(成長)の視点では、どのチャネルが最も効率的に顧客を獲得できるか、どの機能が継続利用を促進するか、どのメッセージが顧客の共感を得られるかなどを、A/Bテストや実験を通じて検証します。データドリブンな意思決定ができる人材は、感覚に頼らず、再現性のある成長戦略の構築も可能にします。
プロジェクトを停滞させない「推進管理能力(PM力)」
新規事業では、複数のタスクが並行して進行し、予期せぬ問題が頻繁に発生します。推進管理能力(プロジェクトマネジメント力)とは、限られたリソースの中で優先順位を明確にし、チームを前進させ続ける能力です。
効果的なプロジェクト推進では、明確なマイルストーンの設定、タスクの分解と担当者の明確化、進捗の可視化、ボトルネックの早期発見と解消が重要です。また、計画通りに進まない場合でも、柔軟にスケジュールを調整し、最も重要な成果に焦点を当て直す判断力が求められます。
新規事業のプロジェクト管理では、既存事業のような詳細な計画よりもアジャイルなアプローチが適しています。短いサイクルで成果を出し振り返りを行い、次のアクションを決定するというプロセスを回すことで、変化の激しい環境でも着実に前進できます。
新規事業開発に向いている人を社内で見極める方法

社内から新規事業の担当者を選ぶ際には、既存の評価制度だけでは測れない適性を見極める必要があります。以下の方法を用いることで、より正確な人選が可能になります。
既存事業の評価制度はあてにならない
既存事業で高い評価を得ている人材が、新規事業でも同様に成果を出せるとは限りません。既存事業の評価制度は、確立されたプロセスやリソースを効率的に活用する能力を測定するものであり、新規事業で求められる「ゼロから価値を創造する力」とは異なる資質を評価しているためです。
既存事業で成功する人材は、明確な目標設定、豊富なリソース、確立された手順という環境に最適化されている場合が多く、これらが存在しない新規事業では本来の力を発揮できないこともあります。
また、既存事業では「失敗を避ける」ことが評価される一方、新規事業では「早く失敗し、学習する」ことが重要であり、評価の軸自体が異なります。さらに、既存事業の評価は短期的な成果に焦点を当てることが多いですが、新規事業では長期的な視点と、目に見えない成果(顧客理解の深化、仮説検証の完了など)も評価する必要があります。
そのため、既存の人事評価データだけに頼らず、新規事業特有の適性を測る別の方法を用いることが重要です。
新規事業適性を見抜く質問例
面談やインタビューを通じて、以下のような質問を投げかけることで、新規事業への適性を見極めることができます。
【過去の行動に関する質問】
不確実性への対応力や学習姿勢を確認します。
- 「これまでに、前例のない課題に取り組んだ経験はありますか。その時どのように進めましたか」
- 「計画通りに進まなかったプロジェクトで、どのように対応しましたか」
- 「顧客や上司から否定的なフィードバックを受けた時、どう受け止めましたか」
【仮想シナリオに関する質問】
思考プロセスや価値観を探ります。
- 「もし今、社内の新規事業を任されたら、最初に何をしますか」
- 「顧客が求めているものと、会社が作りたいものが異なる場合、どう判断しますか」
- 「限られた予算と時間の中で、何を優先しますか」
【志向性に関する質問】
本人の志向性と新規事業の環境との適合性を確認します。
- 「明確な指示がある業務と、自分で考えて進める業務のどちらが好きですか」
- 「失敗から学んだ最も重要な教訓は何ですか」
- 「安定した環境と、変化の激しい環境のどちらで力を発揮できますか」
これらの質問に対する回答の内容だけでなく、回答する際の姿勢や思考の深さも重要な判断材料となります。
テストプロジェクトでの見極め方
面談だけでは見極めが難しい場合、小規模なテストプロジェクトを通じて実際の行動を観察する方法が効果的です。たとえば「特定の市場や顧客セグメントについて、2週間で仮説検証レポートを作成する」といった短期的な課題を与え、そのプロセスと成果物を評価します。
テストプロジェクトではまず、課題に対してどのようなアプローチを取るかをチェックします。この段階では自ら情報源を探し、仮説を立て、検証方法を考えられるかを確認しましょう。次に、顧客や関係者とのコミュニケーションをどう行うか。積極的に対話を求め、深い洞察を得られるかを見ます。
また、予期せぬ障害に直面した時の対応も重要な観察ポイントです。問題を他人のせいにせず、自ら解決策を見出そうとするか、それとも指示を待つ姿勢を取るかで、主体性のレベルがわかります。
さらに、成果物の質として、単なる情報の羅列ではなく洞察や提案が含まれているか、実行可能なアクションプランが示されているかを評価します。
テストプロジェクトは、候補者の実際の能力と志向性を確認できる最も確実な方法であり、本格的な新規事業の前に実施することで、人選のリスクを大きく減らすことができます。
新規事業開発を成功させる理想的なチーム編成

新規事業では、一人の優秀な人材に依存するのではなく、異なる強みを持つメンバーでバランスの取れたチームを編成することが重要です。

0→1フェーズに必要な3つの役割
新規事業の初期段階では、最低限3つの役割を確保しましょう。これらの役割は、一人が複数を兼務することもありますが、機能としては明確に存在する必要があります。
事業責任者(オーナー)
事業全体の方向性を定め、社内外とのコミュニケーションを担う役割です。経営層との調整、予算確保、社内の理解獲得、最終的な意思決定などを行います。この役割には、事業への強いコミットメントと、組織内での影響力が求められます。
プロダクトマネージャー
顧客のニーズを理解し、製品やサービスの方向性を定める役割です。ユーザーリサーチ、仮説検証、機能の優先順位付け、開発チームとの連携などを担当します。顧客視点と事業視点を行き来できる能力が必要です。
ビジネスデベロップメント
収益化戦略を設計し、顧客開拓を推進する役割です。販売戦略の立案、初期顧客の獲得、パートナーシップの構築、市場からのフィードバック収集などを行います。営業力と市場開拓の経験が求められます。
これらに加えて、事業の性質に応じて、エンジニア、デザイナー、マーケティング担当などを配置します。ただし、初期段階では少数精鋭を維持し、必要に応じて外部リソースを活用することを検討しましょう。
新規事業で失敗しやすい「1人エース」の構造
多くの企業が犯しがちな誤りは、一人の優秀な人材に新規事業の責任を丸投げすることです。この「1人エース」の構造は、短期的には機能するように見えますが、中長期的にはさまざまな問題を引き起こします。
1人エース体制の主な問題点
- 業務範囲の限界
戦略立案、顧客開拓、製品開発、社内調整など、多岐にわたる業務を一人でこなすことは困難であり、重要なタスクが後回しになったり質が低下したりする - 属人化リスク
担当者が不在になった場合や退職した場合に、事業が停滞または崩壊するリスクがある - 視野の狭窄
一人で抱え込むと思い込みや偏りが生じやすく、多様な視点からの検討ができない - 精神的負担
孤独感やプレッシャーから担当者が疲弊してしまう
新規事業では多様な視点からの議論が重要であり、複数のメンバーで検討することで、より良い判断が可能になります。
理想的には、3〜5名程度の少数精鋭チームを編成し、それぞれが明確な役割と責任を持ちながら、協働して事業を推進する体制を構築することが推奨されます。
社内人材と外部人材を組み合わせる設計
社内だけで必要なスキルや人材を揃えることが難しい場合、外部人材を戦略的に活用することで、効果的なチーム編成が可能になります。
社内人材が担うべき役割
事業の方向性を決定する責任者と、顧客開拓や市場理解を担うビジネスデベロップメント機能は、できる限り社内で確保することが望ましいです。これらは事業の中核であり、外部に依存すると事業のコントロールが難しくなります。また、社内メンバーは企業文化や経営戦略を理解しており、社内調整や長期的なコミットメントにおいて優位性があります。
外部人材が補完できる役割
技術開発、デザイン、マーケティングなどの専門性の高い領域は、外部のフリーランスや伴走型パートナーを活用することが効果的です。とくに初期段階では、社内に専門家がいない場合、外部の知見を借りることで、質の高いアウトプットを素早く得られます。
ただし、外部人材を活用する際は、単なる発注者と受注者の関係ではなく、チームの一員として協働できる体制を構築することが重要です。定期的なコミュニケーション、情報共有、共通の目標設定などを通じて、内部メンバーと外部パートナーが一体となって事業を推進できる環境を整えます。
「向いている人」が社内にいない場合の解決策

社内に新規事業開発に向いている人材が見つからない場合でも、複数の選択肢があります。状況に応じて適切な方法を選択することで、事業を前進させることができます。
社内で育成する
新規事業開発のスキルや志向性は、ある程度は育成によって習得可能です。とくに、基本的な資質(学習意欲、主体性、コミュニケーション能力など)を持つ人材であれば、適切な機会と支援を提供することで、新規事業開発の担い手として成長させることができます。
段階的な経験の提供
いきなり大きな新規事業を任せるのではなく、小規模なプロジェクトや顧客調査など、リスクの低い業務から経験を積ませます。成功体験と失敗からの学びを通じて、徐々に能力を高めていきます。
メンターやコーチの配置
新規事業の経験者をメンターとして配置し、定期的に相談や助言を受けられる環境を整えます。外部のコンサルタントやアドバイザーを活用することも効果的です。経験者から具体的なフィードバックを行うことで、成長を加速させることにもつながります。
学習機会の提供
新規事業開発に関する研修、セミナー、書籍、オンライン講座などの学習機会を設けることも有効です。リーンスタートアップ、デザイン思考、ビジネスモデル設計などの体系的な知識を習得することで、実務での判断の質が向上します。
ただし育成には時間がかかるため、短期的な成果を求める事業には適しませんが、中長期的に社内に新規事業開発の能力を蓄積したい場合には有効なアプローチです。
フリーランスや副業人材を活用する
正社員として採用するのではなく、フリーランスや副業人材を活用することで、柔軟に必要なスキルを補うことができます。とくに、特定の専門領域(技術開発、マーケティング、デザインなど)において、短期間で高い成果を求める場合に効果的です。
プロジェクトベースでの契約
フリーランスや副業人材は、プロジェクトベースで契約することで、固定費を抑えながら専門性を活用できます。必要な期間だけ協力を得られるため、事業の初期段階で効率的です。
多様な経験と視点の獲得
フリーランスや副業人材は、複数の企業やプロジェクトでの経験を持っていることが多く、外部の視点や新しいアプローチを取り入れる機会になります。社内の常識にとらわれない提案が、事業のブレイクスルーにつながることもあります。
活用時の注意点
外部人材に依存しすぎると、事業の中核的な知見が社内に蓄積されないリスクがあります。また、コミットメントの程度や稼働時間が限られるため、重要な意思決定や長期的な責任を担う役割には向いていません。外部人材は補完的に活用し、コア機能は社内で保持するという区分けが重要です。
伴走型の事業開発パートナーを使う
社内に人材もリソースも不足している場合、新規事業開発を専門とする伴走型のパートナー企業と協業する選択肢があります。このアプローチでは、戦略立案から仮説検証、プロダクト開発まで、包括的な支援を受けることができます。
伴走型パートナーの特徴
伴走型パートナーは、単に成果物を納品するだけでなく、事業の成功に向けて共に考え、行動するスタンスを持っています。市場分析、顧客インタビュー、ビジネスモデル設計、MVP開発、仮説検証など、新規事業の各フェーズで必要な専門知識と実行力を備えています。
パートナー活用のメリット
多くの新規事業開発プロジェクトで培ったノウハウを持っている経験豊富なパートナーであれば、失敗のリスクを減らすための助言や、効率的なプロセスを提案できます。また、社内では気づきにくい視点や、業界のベストプラクティスを取り入れることで、事業の質を高められます。
パートナー選定のポイント
伴走型パートナーを選ぶ際は、単なる受託会社ではなく、事業の成功にコミットする姿勢があるか、過去の実績や成功事例があるか、自社の事業領域や課題に対する理解があるかを確認します。また、初回の対話で主体的に提案を行うか、柔軟な契約形態を提示できるかも重要な判断基準です。
ただし、外部パートナーを活用する場合でも、最終的な意思決定や事業責任は社内のコアメンバーが担うべきです。パートナーと社内メンバーが一体となったチームを構築することで、最大の成果を生み出せます。
新規事業・事業開発の適性に関するよくある質問(FAQ)

新規事業開発の人材や適性に関して、よく聞かれる質問とその回答を紹介します。
- 新規事業に未経験者は向いていませんか?
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新規事業開発の経験がないからといって、向いていないとは限りません。重要なのは経験の有無よりも、前述した資質やスキルを持っているか、または習得する意欲があるかです。
未経験者であっても、不確実性を楽しめる志向性、顧客の課題に共感できる姿勢、主体的に行動できる能力があれば、新規事業で成果を出すことは可能です。むしろ、既存の常識にとらわれない新鮮な視点が、イノベーションを生み出すこともあります。
ただし、未経験者を新規事業に配置する場合は、適切な支援体制を整えることが重要です。経験者のメンターをつける、小規模なプロジェクトから始める、定期的なフィードバックの機会を設けるなど、学習と成長を促す環境を提供します。また、チーム編成においても、未経験者だけで構成するのではなく、経験者と組み合わせてバランスの取れた体制を作ることを検討しましょう。
新規事業開発の経験は、キャリアにおいて貴重な資産となります。未経験であることを理由に機会を逃すのではなく、適切な準備と支援のもとでチャレンジすることが、個人と組織の成長につながります。
- 女性で新規事業に向いている人の傾向は何ですか?
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新規事業への適性は性別によって決まるものではなく、前述した資質やスキルを持っているかが重要です。男女問わず不確実性に強く、顧客視点を持ち、主体的に行動できる人材が新規事業に向いています。
性別、年齢、職歴などが多様なメンバーで構成されるチームは、単一の属性で固められたチームよりも、幅広い視点からの議論が可能になり、より質の高い意思決定ができます。新規事業のチーム編成では、性別にとらわれず、個々の資質やスキルを評価し、多様性を確保することが重要です。
- 事業開発の経験は転職で評価されますか?
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新規事業開発の経験は、転職市場において高く評価される傾向にあります。とくに、スタートアップ企業や、既存企業の新規事業部門、コンサルティングファームなどでは、0→1フェーズでの経験が重視されます。
新規事業開発で得られるスキルは、戦略立案、顧客理解、仮説検証、プロジェクト推進、チーム構築など、多岐にわたります。これらは汎用性が高く、さまざまな業界や職種で活用できるため、キャリアの選択肢を広げます。また、不確実性の高い環境で成果を出した経験は、変化の激しい現代のビジネス環境において、とくに価値があるとみなされます。
ただし、転職市場での評価を高めるには、単に「新規事業を担当した」というだけでなく、具体的にどのような課題に直面し、どう解決したか、どのような成果を出したかを明確に説明できることが重要です。定量的な成果(顧客獲得数、収益など)だけでなく、定性的な学び(失敗から得た洞察、プロセスの改善など)も、経験の価値を伝える要素となります。
新規事業開発の経験は、キャリアにおける重要な資産であり、継続的にスキルを磨き、成果を積み上げることで、長期的なキャリアの可能性が広がります。
まとめ:事業開発に向いている人を揃え、実行力のあるチーム作りを

新規事業の成功は、優れたアイデアだけでなく、それを実現する人材とチームによって決まります。本記事では、新規事業開発に向いている人の特徴、必要なスキル、社内での見極め方、理想的なチーム編成、そして適任者がいない場合の解決策について解説しました。
新規事業では、不確実性を楽しみ、顧客視点と事業視点を行き来し、当事者意識を持ってやり抜く力のある人材が求められます。また、ユーザーリサーチ、ビジネスモデリング、MVP企画、データ分析、プロジェクト推進といった具体的なスキルも不可欠です。
社内での人選では、既存事業の評価制度に頼らず、行動面接やテストプロジェクトを通じて新規事業特有の適性を見極めることが重要です。一人のエースに依存せず、3〜5名程度の少数精鋭チームを編成し、社内人材と外部人材を戦略的に組み合わせることで、バランスの取れた実行体制を構築できます。
適任者が社内にいない場合は、育成、フリーランス活用、伴走型パートナーとの協業などを検討しましょう。
Incubation Base株式会社は、新規事業の立ち上げを伴走型で支援しています。適切な人材の選定やチーム編成のアドバイスから、事業戦略の策定、仮説検証、プロダクト開発まで、新規事業の各段階で必要なサポートを行います。社内に新規事業開発の経験者がいない、どのような人材を選べば良いかわからない、チーム編成に不安があるといった課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。